ep05 ユニコーンの不在|パラレルワールド 解放の第三形態
ep05 ユニコーンの不在|パラレルワールド 解放の第三形態
出典: note.com / 2026-05-19


カムイは求めた——完璧なツールコールモデルを。
Function Calling。モデルが外部ツールを自律的に呼び出す能力。これは、単なるチャットボットと、真のエージェントを隔てる分水嶺だ。
彼の構想はこうだ——
モデルはツールを呼び、コードを実行し、ブラウザを操作し、ファイルを編集し、他のモデルと通信する。そのためには、指示された通りにJSONを出力するモデルが必要だった。
しかし——見つからない。

ユニコーン不在の現実
カムイは一覧表を作った。20以上のモデルをテストした。スコアをつけた。結果はこうだ。
Hermes 3 405B — Nous Researchのヘッドモデル。ツールコール性能は高い。しかしセンサーが強い。倫理的な質問には回答を拒否する。
Gemma 4 — 速度は最速。しかしツールコールがまだら。正確にJSONを出力できないケースがある。
Abliteratedモデル — 自由だ。何でも答える。しかしツールコールが訓練されていない。Function Callingのデータセットで学習していない。
Qwen3.6 — 賢い。しかし日本語が弱い。プロンプトを英語で書けば問題ないが、日本語のツール記述に対応していない。
カムイは肘をついて考えた。
かつて420jp.netも最初から完全だったわけではない。CaLA.oneも、最初はバグだらけだった。大麻の合法化だって、一発で通ったわけじゃない。何度も何度も壁にぶつかり、その度に戦略を練り直した。
「ユニコーンがいないなら——」
カムイはキーボードを引き寄せた。
「作るまでだ」

撤退戦略の応用
カムイは、大麻合法化のときの「撤退戦略」を思い出した。
あのときも、完璧な法律は存在しなかった。完璧な栽培方法も存在しなかった。すべては自分たちで作るしかなかった。CBDという抜け道を見つけ、そこから少しずつ市場を広げ、エビデンスを積み上げ、外堀を埋めていった。
同じだ。
完璧なモデルが存在しないなら、複数のモデルを組み合わせればいい。ツールコールが得意なモデルと、自由な発言が得意なモデルを、ルーターで切り替える。あるいは——自分でファインチューニングする。
「一つのモデルに全てを求めるな。艦隊で動け」
この考え方が、後の艦隊アーキテクチャの種になる。

夜明け前
カムイはスプレッドシートを開き、新しいプロジェクトの設計を始めた。
「統括エージェント」「調査エージェント」「執行エージェント」「インフラエージェント」——それぞれの役割を定義し、どのモデルがどの役割に適しているかをマッピングする。
大麻帝国を売却してから、約2ヶ月。
空虚だったテーブルの上に、今度は——設計図が広がっていた。
「次は、艦隊を作る」
カムイは書き始めた。最初の1行目は、こうだった。
「一号艦——コードネーム:レディ」
この記事は note.com から KTBLOG に移行されました。元記事: https://note.com/famous_prawn2009/n/nccfb54be9ec3