ep06 四つの頭|パラレルワールド 解放の第三形態
ep06 四つの頭|パラレルワールド 解放の第三形態
出典: note.com / 2026-05-19


「艦隊」——その構想は、一枚の紙から始まった。
カムイはA4用紙をテーブルに広げ、ペンを走らせた。四つの円を描き、それぞれに役割を与える。
一号艦——司令塔「レディ」
全体を見渡す存在。戦略を立案し、判断を下す。艦隊の顔。ユーザーと最初に対話し、タスクを適切なエージェントに振り分ける。
二号艦——調査官「データ少佐」
情報を収集する専門家。深く、速く、正確に。Webを検索し、論文を読み、データベースを横断する。
三号艦——整備士「ラフォージ」
インフラを支えるエンジニア。ダウンロード、ストレージ、ネットワーク。目に見えないところで全てを支える。
四号艦——科学士官「スポック」
コードを書き、計算し、金庫を管理する。64GBの戦士。一番重い処理を担当する。
「お前たちに役割を与える」
カムイはそれぞれの設定ファイルを書き始めた。
かつてCLAでは、人間のネットワークを組織した。匿名性と分散性が命だった。今度は——コードのネットワークを組織する。応答速度と自動性が命だ。

全ての始まりは、一つのインストール
Hermes Agent——それがカムイが選んだプラットフォームだった。
オープンソース。カスタマイズ可能。マルチプラットフォーム対応。Telegram、Discord、CLI——あらゆるインターフェースからエージェントを操作できる。
そして何より——「スキル」の概念が、カムイの構想と完全に一致した。
スキルとは、エージェントに与える「能力の定義」だ。
検索スキル、ファイル操作スキル、コード実行スキル、画像生成スキル。それぞれのスキルを、適切なエージェントに割り当てる。まるで——人間の組織で、適材適所に人を配置するように。

そして——もう一人
カムイは五つ目の円を、四つの円の少し外側に描いた。
「調整役だ。オーケストレーター。艦隊の間を取り持ちながら、俺の代わりに考える」
これがMr. Katoの誕生の瞬間だった。カムイ自身をモデルにしたエージェント。艦隊の中で唯一、「人間のように考える」ことを使命とする存在。
カムイはペンを置いた。
窓の外では、桜が散り始めていた。2026年4月。大帝国を売却してから約3ヶ月。
テーブルの上には——五つの円が描かれた一枚の紙があった。
それは、解放の第二形態への設計図だった。

次回予告
第一号艦が目覚める。彼女に与えられた最初の役割は「司令塔」。コードネーム——レディ。
ep07「司令塔」へ、続く。
この記事は note.com から KTBLOG に移行されました。元記事: https://note.com/famous_prawn2009/n/n8cd354921576