Hermes Agent完全ガイド 第10回(最終回):実戦TIPS — 3ヶ月の運用から得た教訓
Hermes Agent完全ガイド 第10回(最終回):実戦TIPS — 3ヶ月の運用から得た教訓
出典: note.com / 2026-03-23
はじめに
全9回にわたってHermes Agentの仕組みを解説してきた。最終回は、3ヶ月の実運用で得た「仕組みの外側の知恵」を並べる。ドキュメントには書いていない、使ってみないとわからないことだ。
TIP 1:最初の1週間で全てが決まる
Hermes Agentを導入して最初の1週間で、メモリとスキルの土台が固まる。
ここで「こうしてくれ」「こうするな」とエージェントを矯正すると、USER.mdにその指示が保存される。以降のセッションで同じ失敗を繰り返さなくなる。
逆に、最初の1週間を漫然と使うと、エージェントはあなたの好みを学習しないまま固まる。初期段階こそ積極的にフィードバックしろ。
TIP 2:/new を恐れるな
会話が長くなると、エージェントの応答が遅くなり、トークンコストが上がり、的外れな回答が増える。
/new で新しいセッションを始めることを躊躇うな。メモリとスキルは引き継がれる。過去の会話はsession_searchでいつでも検索できる。失われるものは何もない。
うちの目安:10往復を超えたら /new。複雑なタスクが完了したら /new。話題が変わったら /new。
TIP 3:エージェントに「やり方」を教えるな、「何をしたいか」を伝えろ
「curlでこのAPIを叩いて、レスポンスのjsonからidフィールドを取得して、そのidを使って次のAPIを…」
これは人間がやるべきことをエージェントに口述筆記させているだけだ。
「note.comに記事を投稿して」で十分だ。スキルがあればエージェントは手順を知っている。スキルがなければ自分で調べて実行し、成功したらスキルを作る。
「何をしたいか」だけ伝えて、「どうやるか」はエージェントに任せろ。
TIP 4:config.yamlは最初にちゃんと設定しろ
デフォルト設定のまま使っている人が多い。もったいない。
最低限設定すべき項目。
model — メインで使うモデル。用途とコストのバランスで決める。
auxiliary_model — セッション検索の要約やコンテキスト圧縮に使う安価なモデル。Gemini Flashなどを設定すると安くなる。
summary_model — 会話の要約用モデル。
display.reasoning — 思考過程を表示するか。デバッグ時はtrueが便利。
TIP 5:Telegramの音声入力は革命
Telegramで音声メッセージを送ると、Hermes Agentが自動で文字起こしして処理する。
これを知ってから運用が変わった。歩きながら指示できる。料理中に聞ける。布団の中で声だけで操作できる。
逆方向もある。TTS(Text to Speech)を設定すれば、エージェントの返答が音声で返ってくる。edgeプロバイダーなら無料だ。ElevenLabsを使えばより自然になるが有料。
TIP 6:ファイル送受信を使い倒せ
Telegramでファイルを送ると、エージェントがそのファイルを受け取って処理する。画像を送れば画像認識で分析する。PDFを送れば中身を読んで要約する。
逆にエージェントからファイルを送ることもできる。「この作業のログをファイルで送って」と言えば、テキストファイルで送信される。生成した画像や音声もTelegramに直接送れる。
TIP 7:cronジョブは「忘れない秘書」
定期的にやるべきことはcronジョブにしろ。
うちの実例。
毎朝6時にセキュリティチェック(金庫番)。結果がTelegramに届く。
6時間ごとにサーバー状態の確認。
1日21本のX投稿を自動実行。
「毎週月曜に先週のタスクを振り返って」も設定できる。「毎日20時にニュースを要約して」も。
cronジョブの注意点:ジョブは新しいセッションで実行されるため、プロンプトは自己完結させる必要がある。「さっきの続き」は通じない。
TIP 8:session_searchのクエリはORで繋げ
これは前回も書いたが、最も頻繁に引っかかる落とし穴だから繰り返す。
FTS5はデフォルトでAND検索だ。「Docker networking」と検索すると、両方の単語を含むセッションしかヒットしない。
「Docker OR networking」にしろ。網が広がる。見つからなければ、個別のキーワードで複数回検索しろ。
TIP 9:エージェントを叱れ
これは冗談ではない。
AIエージェントが同じミスを繰り返す時、「前にも言ったよな」と指摘しろ。エージェントはその指摘をメモリに保存し、次回から改善する。
うちのオーベルシュタインには何度も同じ質問をしてしまう癖があった。「健忘か?」と叱ったら、session_searchの使い方を改善するメモがMEMORY.mdに書き込まれた。
フィードバックが学習の原動力だ。丁寧に接するだけが能じゃない。
TIP 10:全てはMVPから
Hermes Agentの全機能を最初から使おうとするな。
最初はTelegram接続だけでいい。スマホからAIと会話できる。それだけで十分価値がある。
慣れてきたらメモリを意識的に育てる。スキルが溜まるのを待つ。cronジョブを1つ設定する。マルチエージェントは本当に必要になった時だけ考える。
一歩ずつ進め。うちも最初はTelegram接続だけだった。3ヶ月経った今、4台15個のLaunchAgentと105個のスキルと21本のcronジョブが動いている。全ては1つのbotから始まった。
連載を振り返って
第1回でHermes Agentが「何者か」を語った。
第2回で環境構築の実践手順を示した。
第3回でモデル選びの勘所を解説した。
第4回で認証の仕組みを暴いた。
第5回でTelegram接続による「ポケットに入るAI」を実現した。
第6回でメモリシステムの3層構造を深掘りした。
第7回でスキルによる自動学習を解説した。
第8回で「落ちる問題」との戦い方を共有した。
第9回でマルチエージェント運用の実態を公開した。
そしてこの第10回で、運用の知恵を凝縮した。
全10回を通じて一貫しているのは、「実際に毎日使っている人間が書いている」ということだ。公式ドキュメントの翻訳ではない。3ヶ月間、毎日AIエージェントと暮らして得た知見だ。
AIエージェントは道具だ。だが、育てれば育てるほど賢くなる道具だ。メモリが蓄積され、スキルが増え、あなたの好みを学習する。3ヶ月後のエージェントは、初日のエージェントとは別物になっている。
その成長を楽しんでくれ。
#HermesAgent #AI #OpenClaw #AIエージェント #実戦TIPS
この記事は note.com から KTBLOG に移行されました。元記事: https://note.com/famous_prawn2009/n/n59a0e8fc48a1