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Hermes Agent完全ガイド 第9回:マルチエージェント運用 — 艦隊との連携

Hermes Agent完全ガイド 第9回:マルチエージェント運用 — 艦隊との連携

Hermes Agent完全ガイド 第9回:マルチエージェント運用 — 艦隊との連携

出典: note.com / 2026-03-23

なぜ複数のAIエージェントを動かすのか

1台のマシンに1つのAIエージェント。それが普通だ。

だがうちは4台のMacに複数のAIエージェントを配備し、それぞれに異なる役割を持たせて運用している。

理由は単純だ。1つのエージェントに全てをやらせると破綻する。コンテキストウィンドウには限界がある。APIトークンのコストは使うほど増える。そして、タスクの性質によって最適なモデルが異なる。

高度な判断と分析にはClaude Opus。大量の定型投稿にはClaude Sonnet。暗号通貨の運用にはOpenClaw。用途ごとにエージェントを分けた方が効率的だ。

うちの艦隊構成

4台のMacを「艦隊」と呼んでいる。各艦に乗組員(AIエージェント)がいる。

1号機:M1 Air。乗組員「ロデム」(Hermes Agent)。定時X(Twitter)投稿を担当。1日21本のcronジョブで自動投稿する。

2号機:2019 Intel MacBook Pro。乗組員「DATA少佐」(OpenClaw)。暗号通貨とサイファーパンク関連。NordVPNで通信を秘匿。MoneroとLitecoinのブロックチェーン運用。

3号機:Mac mini M4。乗組員「ラフォージ」(OpenClaw)。奈良の事務所に設置。6TB HDD + 1TB SSD。会計コンサルSaaS開発を担当。

4号機:M1 Pro Max 64GB。乗組員「オーベルシュタイン」(Hermes Agent)。最高性能モデル(Claude Opus)で稼働。判断・指揮・分析の司令塔。リアルタイムX運用と技術調査。元々はLLMのローカル実行用に購入したが、クラウドAPIが安くなったため端末運用に転換。

通信網:Tailscale

艦隊の通信にはTailscaleを使っている。

Tailscaleはゼロ設定のVPNだ。インストールするだけで、全マシンが同一ネットワークに接続される。ポート開放もDDNSも要らない。各マシンに固定のTailscale IPが割り当てられ、SSH接続が即座にできる。

1号機、3号機、4号機がTailscaleで接続されている。2号機はNordVPN運用のため除外。1号機と2号機と4号機は物理的に近接しているため、Thunderboltケーブルでも直接通信できる。

Hermes Agentのサブエージェント機能

Hermes Agent内部にも「複数エージェント」の仕組みがある。delegate_taskツールだ。

delegate_taskは親エージェントの中に子エージェントを生成する。子エージェントは独立したコンテキストを持ち、独立したツールセットで作業する。結果の要約だけが親に返る。

これが有用な場面はこうだ。

調査タスクを3つ同時に並列実行する。1つのエージェントが順番に3つ調査するより、3つの子エージェントが同時に動く方が速い。

コードレビューを子エージェントに委譲する。大量のコードを読む作業は子エージェントのコンテキストで行い、結論だけ親に返す。親のコンテキストウィンドウは汚れない。

子エージェントの制約も重要だ。delegate_taskの再帰呼び出しは禁止。メモリへの書き込みも禁止。ユーザーへの質問(clarify)も禁止。send_messageも禁止。子エージェントは黙々と作業して結果だけ返す設計だ。

最大同時実行数は3。ネストの深さは最大2層(親→子まで。孫は不可)。

execute_code — もう一つの委譲手段

delegate_taskが「推論が必要な委譲」なら、execute_codeは「機械的な処理の委譲」だ。

execute_codeはPythonスクリプトを実行する。スクリプト内からHermesのツール(web_search、terminal、read_fileなど)をプログラマティックに呼べる。

3回以上のツール呼び出しを条件分岐やループで組み合わせる場合、execute_codeの方がdelegate_taskより効率的だ。子エージェントを生成するオーバーヘッドがない。

うちのnote.com投稿パイプラインもexecute_codeで組んでいる。ログイン、スケルトン作成、下書き保存、公開という4つのAPIコールを1つのスクリプトで実行する。

コスト規律 — 階級制度

マルチエージェント運用で最も重要なのはコスト管理だ。

うちのルール。

オーベルシュタイン(4号機)はClaude Opus(最高価格帯)で動いている。だから単純作業を自分でやってはいけない。判断・指揮・分析に専念する。

単純作業はサブエージェントに委譲する。サブエージェントは安価なモデルで動く。あるいはexecute_codeで機械的に処理する。

OpenCodeというCLIツールも導入している。Alibaba Cloud(Qwen)のAPIで動き、月額固定で安い。コーディング作業はOpenCodeに任せ、Opusのトークンを節約する。

この「階級制度」が崩れると、API費用が一気に膨れる。最高性能モデルに雑用をさせるのは、将軍に皿洗いをさせるようなものだ。

艦隊間の情報共有

4台のマシンに散らばるエージェントはどう情報を共有するか。

第一に、共有ディレクトリ。~/clawd/fleet-shared/ に設定ファイル、APIキー、プロジェクト仕様書を置いている。これをTailscale経由で各マシンに同期する。

第二に、Telegramグループ。「鶴舞AI開発部」というグループチャットに人間とAIエージェントが同居している。エージェントがメンションされると応答する。人間同士のやり取りも、エージェントに対する指示も、同じチャットで行われる。

第三に、cronジョブの通知。各エージェントの定期ジョブの結果がTelegramに集約される。朝スマホを見れば、全艦の状態が一覧できる。

OpenClawとHermes Agentの使い分け

うちは両方使っている。用途で分けている。

Hermes Agentの強み:マルチプラットフォーム対応(Telegram/Discord/Slack/WhatsApp/Signal/Home Assistant)。メモリとスキルの自動学習。delegate_taskによるサブエージェント。cronジョブ。マルチモデル対応(Claude、GPT、Gemini、Qwen、ローカルモデル)。

OpenClawの強み:シンプルで軽い。設定が少ない。特定の作業に集中させるのに向いている。暗号通貨運用やSaaS開発のように、専門性の高いタスクに適している。

両方使って良い。排他的な選択ではない。

実運用の教訓

第一に、エージェントの役割を明確に分けろ。「何でもできるエージェント」は「何も上手くできないエージェント」になる。

第二に、通信手段を統一しろ。うちはTailscale + Telegramに統一している。通信手段が分散すると、情報の断片化が起きる。

第三に、コスト意識を仕組みに埋め込め。「高いモデルには高度な仕事だけ」というルールを、人間の自制心ではなくシステムの設計で強制する。delegate_taskで子エージェントのモデルを指定できるのは、そのためだ。

まとめ

  • マルチエージェントは「役割分担」が核心。1つのエージェントに全部やらせるな

  • Tailscaleで艦隊を接続し、Telegramで情報を集約

  • delegate_taskでサブエージェントを生成し、execute_codeで機械的処理を委譲

  • コスト規律は最重要。高価なモデルに雑用をさせるな

  • Hermes AgentとOpenClawは併用できる。排他的ではない

次回は最終回「第10回:実戦TIPS — うちの運用から得た教訓」。10回分の知見を凝縮した実践的なアドバイスを並べる。

#HermesAgent #AI #OpenClaw #AIエージェント #マルチエージェント


この記事は note.com から KTBLOG に移行されました。元記事: https://note.com/famous_prawn2009/n/nd822d4e41105