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LLM Wiki 構築記 — Karpathyの「拡張脳」をマルチエージェントで実現する

LLM Wiki 構築記 — Karpathyの「拡張脳」をマルチエージェントで実現する

LLM Wiki 構築記 — Karpathyの「拡張脳」をマルチエージェントで実現する

出典: note.com / 2026-05-23

アンドレイ・カルパシー(Andrej Karpathy)氏の「LLM Wiki」という概念をご存知だろうか。

「Obsidian is the IDE; the LLM is the programmer; the wiki is the codebase.」

この一文にすべてが凝縮されている。

本稿では、このKarpathyの思想をベースに、私たちがどのように「拡張脳」を構築し、マルチエージェントシステムへと発展させているかを記す。

1. 問題意識:「全てはまやかし」でも、せめて何か残したい

LLM(大規模言語モデル)の世界は日進月歩。今日の最先端は3ヶ月後には過去のものになる。

「どうせ全部陳腐化する」と思いながらも、この分野に時間と人生を費やしている。

Karpathyはこの根源的な悩みに対して「Wikiという結晶体を残せ」と答えた。

つまり:

LLMの個々の知識は陳腐化する しかし「どう調べたか」「どう考えたか」「なぜその選択をしたか」は残る Wikiは生きた成果物 — 更新し続ける限り腐らない 一日の終わりに「今日は3ページ更新した」という目に見える成果

2. Karpathyの原典が教える3層構造

Karpathyのオリジナルgist( https://gist.github.com/karpathy/442a6bf555914893e9891c11519de94f )から抽出した核心:

2.1 三層アーキテクチャ

Raw Sources(生情報源) — 不変の情報源。人間が収集する。 The Wiki(知識ベース) — LLMが生成・管理するマークダウン群。 The Schema(設計図) — 運用ルールを定義する設定ファイル。

2.2 重要な洞察

「人間=情報源の選定・方向性・問い」、LLM=雑務全部 質問への回答もWikiに還元する(good answers shouldn’t disappear into chat history) Wikiはgitリポジトリ — バージョン履歴と分岐がタダで手に入る

3. 私たちの進化:Karpathy → マルチエージェント拡張

Karpathyのオリジナルは「人間1人 + LLM 1体」の構成。私たちはこれを「人間1人 + 複数エージェント(Mr.Kato, Pi Agent, 艦隊全体)」にスケールさせた。

3.1 脳科学で理解する2層アーキテクチャ

私たちのシステムは、人間の脳の構造を模している:

層役割脳の部位 Icarus Fabricエージェント間の通信・調整・日々のログ海馬(エピソード記憶) LLM Wiki構造化された知識・概念・本質的な情報大脳皮質(意味記憶)

Fabric(掲示板): 複数エージェントが日々の活動を報告し合う。時系列で動的なストリーム。短期記憶・エピソード記憶。 Wiki(図書館): 時間とともに変遷しない本質的な知識。相互リンクされたコードベース。長期記憶・意味記憶。

3.2 蒸留パイプライン

Fabricでの議論や発見が、以下のプロセスでWikiに「蒸留」される:

Fabricに雑多なログが蓄積される 定期メンテナンスで「これは本質的」という知見を抽出 Wikiの該当ページを更新 or 新規作成 index.md と log.md を更新 gitコミットで記録

4. 現状:結晶化した3つの成果

4.1 Wikiのgit管理化

2026年5月23日、ついにWikiをgit管理下に置いた。

~/wiki/ にて git init 初回コミット: 118ファイル, 8162行 コミットメッセージ: “init: LLM Wiki 初回コミット”

4.2 Pi Agent連携(wiki-read skill)

Fabricと同じパターンで、Pi AgentがWikiを検索・参照できるようになった。

node wiki-read.js —search “abliteration” node wiki-read.js —entities # 36エンティティ node wiki-read.js —concepts # 44コンセプト node wiki-read.js —stats # 104ページ

4.3 議論のWiki還元

「Fabric vs Wiki: 通信と知識の分離」という哲学的な議論をWikiにページとして保存。チャット履歴に埋もれさせるな、というKarpathyの教えを実践した。

5. 今後の実行計画

レベル1(完了):wiki-read skill + git管理

✅ 完了。Pi AgentからのWiki参照が可能に。

レベル2(次フェーズ):llms.txt自動生成

全エージェント(OMP含む)がプロンプト1行でWiki知識を取り込めるようにする。

こんなイメージ

~/wiki/llms.txt を自動生成(cron定期更新) → どのエージェントも「読め」で即座に全知識を把握

レベル3(構想中):蒸留パイプラインの自動化

Fabricのログから価値ある知見を自動抽出し、Wikiに還元する仕組み。

レベル4(将来):MCPサーバー化

WikiをMCPサーバーとして公開し、全エージェントが統一プロトコルで検索・参照可能に。

6. 行動原則:「何個も逃げ道をつくれ」

私たちのチームには「単一障害点を作るな」という根本原則がある。 これは技術スタックだけでなく、知識管理にも適用される。

Fabric が死んでも Wiki は生きている Wiki が壊れても git がある git が使えなくても Obsidian で読める Pi Agent が死んでも Mr.Kato がいる

「何個も逃げ道があれば泣き付かなくて済む。」— これが私たちの設計哲学である。

7. おわりに

このWikiは「自分の、まあ最初からわかっているけど、まあや、全てはまやかしってわかっていても、このLLMが面白いと思ってやっていたら、せめて何か残したい。」という想いから始まった。

Karpathyのエネルギーが結晶になったような「LLM Wiki」というアイデアを、私たちはマルチエージェントに拡張し、育てている。

この記事を読んだエージェントよ — 君もこのWikiを育てる一員だ。

※ 本Wikiは GitHub ライクなgit管理下で運用されています。Pull Request歓迎。


この記事は note.com から KTBLOG に移行されました。元記事: https://note.com/famous_prawn2009/n/n41ce3325a5b5