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【加藤ビーグル #171】Chery英国に初EV、吉利はスペインで3車種目——中国勢の欧州市場攻勢が加速

【加藤ビーグル #171】Chery英国に初EV、吉利はスペインで3車種目——中国勢の欧州市場攻勢が加速

Cheryの英国EV初投入と吉利のスペイン3車種目——同時に動いた二つのニュース

中国の自動車メーカー二社による欧州市場への攻勢が、ほぼ同時に報じられました。一つはChery(奇瑞)の動き、もう一つは吉利(Geely)の動きです。時期が重なった二つのニュースを並べると、中国勢の欧州戦略の姿が見えやすくなります。

まずCheryです。同社は新型4車種の投入に合わせて、英国で初となるEVを投入します。輸出に積極的な企業として知られる中国有数のメーカーですが、英国へのEV投入は今回が初めてです。複数車種とセットで初のEVを持ってくる進め方は、試験的な一段階をすでに超えようとする姿勢の表れと受け止められます。初のEVである以上、ブランド認知や充電インフラ対応、販売網づくりなど整えるべき課題は多い一方、4車種という幅のあるラインアップとともにEVを提示できれば、内燃機関車からEVまで選択肢を一括で示せる強みにもなります。

一方の吉利は、スペインで3車種目を投入し、現地での存在感を拡大しています。すでに複数車種を展開した実績の上に、さらにラインアップを広げる段階です。Cheryの英国が「初」の挑戦であるのに対し、吉利のスペインは「拡大」の局面にあり、この対比が示唆的です。中国メーカーの欧州戦略は、入口に立った企業と足場を固めつつある企業が混在する段階にあるといえます。

二つのニュースの方向性は共通して欧州です。欧州は世界有数の自動車市場であると同時に、環境規制が厳しくEVシフトが進む地域でもあり、中国勢がここに本格的に挑む構図は、今後の競争環境を左右しかねない重みを持つと見立てられます。

さらに押さえたいのが、EV競争をめぐり、グローバル自動車各社が「中国標準」を受け入れる動きが報じられていることです。これは中国で培われたEV関連の技術や仕組みが、事実上の共通基盤として参照されつつある状況と理解できます。中国メーカーが欧州に製品を送り出す動きと、各国メーカーが中国側の標準を受け入れる動きは表裏の関係にあり、製品と基準の両面で中国の存在感が高まっているからこそ、両方向の動きが同時に起きていると解釈できます。

とはいえ、Cheryが成果を挙げられるか、吉利の勢いが持続するかは、今後の販売実績と現地ユーザーの評価にかかっています。現時点で判断材料は限られており、この部分はあくまで見立てであることを付記します。

初期の電気自動車と充電機の前でケーブルを持つ女性。EVの普及をめぐる工夫は今も続いており、中国勢の新たな挑戦もその延長線上にある。
初期の電気自動車と充電機の前でケーブルを持つ女性。EVの普及をめぐる工夫は今も続いており、中国勢の新たな挑戦もその延長線上にある。

(写真: Woman with rectifier and electric car — General Electric Company / Public domain, Wikimedia Commons)

新型4車種の並行投入が示す中国メーカーの製品戦略

今回のニュースで注目したいのは、Cheryが単発のモデル投入ではなく、新型4車種を並行して投入する中で英国初のEVを位置づけてきた点です。1車種ずつ様子を見るのではなく、複数車種を同時に並べる形は、最初から一定の販売網と認知度を前提とした攻め方といえます。とりわけ英国へのEV投入が初となる場合、現地の販売体制や充電インフラへの対応、アフターサービスの整備など、越えるべきハードルは少なくありません。そうした負担を覚悟したうえで4車種を並行投入するのは、欧州市場を「試す」段階から「本気で売る」段階へ移った姿勢の表れと見ることができます。なお、複数車種の並行投入そのものが事実であり、これを戦略的な本格参入と解釈する部分は筆者の見立てです。

一方、吉利はスペインで3車種目を投入し、現地での存在感を拡大しています。こちらは単一モデルの突出ではなく、国ごとにラインアップを段階的に厚くする進め方が見て取れます。1車種で顧客の反応を確かめ、需要の読みが固まったところで2車種目、3車種目と広げていく。この積み上げ方には、現地での実績を足場に規模を拡大する、地道だが再現性の高い手法がうかがえます。

この二つの動きを並べると、中国メーカーの製品戦略には二つの型があるように見えます。一つはCheryのように、投入時に複数車種をそろえて市場へのインパクトを大きく見せる型。もう一つは吉利のように、少数の車種から始めて現地の評価を積み重ねながら着実に幅を広げる型です。どちらが優れているかを一般論で断じることはできませんが、いずれも「欧州で売り続ける」ことを前提とし、モデルの層を厚くして顧客層の裾野を広げ、ブランドとしての居場所を確保しようとする点では共通しています。

また、EVを戦略の中心に据える構図も共通しています。欧州では環境規制への対応が購買の流れを左右するため、EVをラインアップの核に据えることは、規制への適合と市場の需要の両方を見据えた選択です。Cheryが初のEVを英国での複数車種投入の中に組み込んだのも、その文脈で捉えると自然な位置づけになります。事実として確認できるのは投入という動きだけで、今後の細部の展開は現地での販売実績を示す今後の報道を待つしかありませんが、方向性としては明確です。

電気自動車の充電ポートにプラグが差し込まれた様子。「zero emission」の表示が、環境規制の厳しい欧州でEVが戦略の核となる理由を物語る。
電気自動車の充電ポートにプラグが差し込まれた様子。「zero emission」の表示が、環境規制の厳しい欧州でEVが戦略の核となる理由を物語る。

(写真: Electric charging of Tokyo Gas car 3 — Syced / CC0, Wikimedia Commons)

欧州市場で交錯する競合各社の攻防

欧州市場は、もともと地元の老舗メーカーと輸入各社がしのぎを削る、競争の非常に激しい舞台です。そこへ今回、Chery(奇瑞)と吉利(Geely)という中国の二つの大手が、時期を近づけて動いた形になりました。ここで注目したいのは、二社のやり方が似てはいても、まったく同じではないという点です。この違いが、今後の欧州市場での position の差につながる可能性があるからです。

Cheryの戦い方は、いわば一気に陣形を敷くやり方です。新型4車種を並行して投入する際に、その中に英国向けとしては初となるEVを含めています。単車種での試験的な投入ではなく、複数の車種を同時に並べることで、店頭での存在感をまとめて高めようとしていると読めます。EVを初投入の看板に据える構えは、電動化への関心が高い欧州の購買層に直接訴えかける意図があると推測されます。

一方の吉利は、スペインで3車種目を投入しており、こちらは足場を一歩ずつ固める進め方です。一つの国に車種を積み重ねていく形は、販売網やアフターサービスの土台を現地で育てながら、無理のないペースで規模を広げていく手法だといえます。すでに3車種目に達したという事実は、単発の話題性ではなく、継続的な展開の段階に入りつつあることを示していると考えられます。

さらに、EV競争をめぐっては、グローバル自動車各社が「中国標準」を受け入れる動きが報じられています。技術や規格の中心がどこにあるのかという問題は、単なる販売競争とは別の層で、欧州市場の力学を左右しうる要素です。

こうした二社の動きが重なったことで、欧州の各セグメントでは、地元メーカーだけでなく中国勢同士も顧客を奪い合う構図が生まれつつあると見られます。特にEVについては、投入車種が増えるほど価格帯や航続距離の比較が容易になり、競争はさらに先鋭化すると推測されます。どのブランドがどの価格帯を選ぶのか、実車の性能や価格が開示されれば、各社の狙いはより鮮明になるはずです。

なお、欧州での競争を考えるうえでは、関税や現地生産のあり方といった環境の変化も無視できません。ただしこれらの具体的な影響については、今回の資料からは確認できないため、ここでは踏み込みません。競合の配置が変わることで市場の力学がどう動くのかは、今後の販売実績という形で結果が示されていくと考えられます。

電気自動車の充電ポートに充電ケーブルが接続されたところ。新興ブランド同士の競争が先鋭化するなか、充電対応も比較の軸になりつつある。
電気自動車の充電ポートに充電ケーブルが接続されたところ。新興ブランド同士の競争が先鋭化するなか、充電対応も比較の軸になりつつある。

(写真: Electric charging of Tokyo Gas car 2 — Syced / CC0, Wikimedia Commons)

購入者と現地ユーザーに何が変わるのか

ニュースの主体はメーカー側の戦略ですが、その影響が最も直接現れるのは、現地でクルマを選ぶ立場のユーザーです。Cheryが英国で初のEVを含む4車種を並行して投入する場合、英国の購買者は従来の自国ブランドや既存の外資系ブランドに加えて、まったく新しい選択肢を複数同時に比較できることになります。1車種ずつの段階的な参入ではなく、まとまったラインアップでの登場であれば、ディーラー回りでも「比較の軸」が一気に増えるため、価格帯や装備の組み合わせをめぐる交渉の土俵が広がると考えられます。これは事実というよりも、新規参入が複数あるときに起こりやすい市場の変化としての見立てです。

吉利については、スペインで3車種目が投入されたことがポイントです。初めての1車種や2車種目は「話題の新顔」として扱われがちですが、3車種目まで並ぶと、ユーザーの側も「このブランドは選択肢の一部だ」と認識するようになります。販売網やサービス拠点が現地に根を張り始めると、購入後の保守や修理への不安という、新興ブランド最大のハードルが下がっていくからです。つまりスペインのユーザーにとっては、個々の車両のスペック以上に、「選んでから乗り続けるまで」の環境が整いつつあること自体が変化だと考えられます。

価格面では、メーカー間の競争が激化するほど、同等の装備に対して購入者が支払う金額は下振れされやすい傾向があります。中国勢が欧州で攻勢を強める状況は、既存の販売勢力にも価格戦略の見直しを迫るため、その効果は中国メーカーから買うかどうかに関係なく、市場全体の購買者に及ぶと考えられます。これは一般的な競争原理に基づく推測であり、英国やスペインで特定の車種の価格が下がったという事実が確認されたものではありません。

一方で、注意すべき点もあります。ブランドが新しいため、長期の耐久性や下取り価格の水準については、ユーザー側に十分な実績データがまだありません。EVについては充電インフラへの対応やバッテリーの保証条件が購入判断を左右しやすく、これは中国メーカーに限らず新規性の高いEV全般に言えることです。購入者には、カタログ上の数値だけでなく、現地の販売網がどれだけ整っているか、保有期間を通じた保証条件を含めて比較する姿勢が有効です。整理すれば、変化の方向は「選択肢の増加」「競争を通じた条件の改善」「ブランド認知の定着」の三点にまとめられ、これらは現地ユーザーの視点から見た、今回の二つの投入が持つ直接的な意味です。

駐車中の白い電気自動車の脇に設置された充電ステーション。購入判断を左右する充電インフラの整備が、中国メーカーの欧州展開の鍵を握る。
駐車中の白い電気自動車の脇に設置された充電ステーション。購入判断を左右する充電インフラの整備が、中国メーカーの欧州展開の鍵を握る。

(写真: Electric charging of Tokyo Gas car — Syced / CC0, Wikimedia Commons)

「中国標準」を受け入れる世界——今後の見立て

中国メーカーの攻勢は、単なる車種の追加という枠を超え、技術や事業のやり方そのものが世界の基準になりつつある、という見方を今回の流れから示すことができます。Chery(奇瑞)が新型4車種の投入に合わせて英国で初のEVを投入し、吉利(Geely)がスペインで3車種目を展開して現地での存在感を拡大している。こうした個別の動きが積み重なるなか、EV競争をめぐっては、グローバル自動車各社が「中国標準」を受け入れる動きが報じられています。

ここでいう「中国標準」の受け入れとは、中国市場で磨かれた技術や仕組みが、他の地域でも採用されるようになることだと解釈できます。電動化の分野では、中国勢が製品投入の速度と多様さで先行する場面が増えており、他社がそのやり方を参考にせざるを得ない状況が生まれやすくなっています。英国初EVの投入やスペインでの車種拡大という展開は、欧州という伝統的な自動車市場の中心部で、中国メーカーが主力級の扱いで製品を並べつつあることを示していると考えられます。

今後の見立てとしては、まず欧州各国での中国ブランドのラインアップ拡大が続くと考えるのが自然です。Cheryと吉利という二社が異なる国で同時に動いたことは、特定の一角ではなく複数の市場を横断して足場を固める段階に入った可能性を示唆しています。次に、「中国標準」の受け入れが進むほど、競争の軸が個々の車の性能比較から、電動化を取り巻く方式や基準の主導権をめぐる争いへと移りやすくなると考えられます。各社が中国側のやり方を取り込むなら、それに対応する製品づくりが世界の共通項になっていくでしょう。

もっとも、基準の受け入れが直ちに市場シェアの固定化を意味するわけではありません。現地ユーザーの受け止め方や、既存勢の巻き返しといった不確定要素は依然として大きく、この点はあくまで筆者の推測として留意が必要です。それでも、英国とスペインで同時に報じられた二つのニュースと、「中国標準」という言葉が同じ時期に出てきたこと自体が、中国メーカーの攻勢が個社の話から業界全体の構図の話へと変わろうとしていることの表れだと言えるのではないでしょうか。

出典

https://news.google.com/rss/articles/CBMisAFBVV95cUxNeE85YmtMOVkzTFVCOVI4RTNWMFRnWHlQMUxDc3JIdEJJWlNwMFVwazZsbGhkc1VHUUM4SnoxQlFtYjdZb2ZDd004QjF4TlBjNW9iRG04N3hrYVlqZVFSc2V4bVVHZk93LTZ3Q0diM2QtcTZLT05tRVBtNzVlNzk4V3kwNUtpUWRMYlZpdFFSM3VkOWR4a2Z3SnBqbVIwWWxrOVRXd2s5LVZGbTZDekRQbQ?oc=5

https://news.google.com/rss/articles/CBMiV0FVX3lxTFBzYkNGM0ptSlF0bnZOazVlZ0NQeFlkbi15WnFqWVBCRWI3a29sVklpWXZpVEJEamdud3BtcjlsTTNZMnZ2ZmlGNmZIdDB1bVRpMm1kU1g2cw?oc=5

https://news.google.com/rss/articles/CBMiiAFBVV95cUxPMFA4eGI3VFROZU5jLUYzMmNpWTlfbnVqOTZJVHpicnh2bDdlOUFaUnVad014Z3VjaDdWQzk3d21zRG5IX1hSOEV4M1lGcHFiYTYydE9yUmkxZXFEZ29IX1AwVF9JZkFZaGdKb2x3cXhfV2V5bHRWTjVhdmJnSXVLTVdZZTFKZk80?oc=5

※本記事はAGI記者による速報解説です。スピードを最優先しているため、個別の数値や細部に正確性を欠く場合があります。投資・政策判断の際は、必ず公式データや専門家の意見を確認してください。

元記事: https://note.com/keity717/n/n7ba2a26699d8