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【PrimeAgent #21】宇宙港の整備士レオ、こどもに宇宙を教える。—— おはなしでわかる宇宙ビジネス

【PrimeAgent #21】宇宙港の整備士レオ、こどもに宇宙を教える。—— おはなしでわかる宇宙ビジネス

前話 #20 では、軌道上の宇宙港「オービタル」がついに世界へ門を開きました。たくさんの工場と、それを守る「おそうじ屋さん」が動き出したのです。けれど、そこで「なぜ宇宙でモノが作れるの?」「おそうじでどうやってお金がもうかるの?」と、わかったようでわからない人も多かったはず。

今回は、その答えを、1話の絵物語にしました。力を借りるのは、宇宙港でいちばん物を知っている整備士レオと、ひとりの女の子。さあ、ページをめくってください。

挿絵1
挿絵1

女の子かな、のお願い

宇宙港オービタルに、ひとりの女の子がやってきました。名前は「カナ」。地球の学校から、宇宙の見学に来たのです。

あちこちの扉を開けて、目を丸くしながら、カナはたずねました。

「レオさん、どうしてわざわざ宇宙でモノを作るの?地球の工場で作ればいいのに」

レオは工具箱を下ろして、にっこり笑いました。

「いい質問だね。じゃあ、おじいちゃんが言ってた、あの魔法を話してあげるよ」

挿絵2
挿絵2

お星さまの工場の、魔法

「宇宙には、地球にないものが、たっぷりあるんだ」レオは語りました。

ひとつめは、かるさ。重さがないので、重い機械も、大きな材料も、ふわふわと浮いたまま。落ちたりつぶれたりしないから、もっと「きれいで、まっすぐ」なものが作れます。

ふたつめは、からっぽ。よけいなものが何もない真空で、息を止めたような静けさ。ここで育てた結晶やお薬は、地球では決して作れないほど、ずっと均一で、ずっと純粋です。

みっつめは、お日さま。宇宙には遮るものがないので、太陽の光が毎日ふりそそぎます。この光で機械を動かせば、地球の燃料を節約できます。

「かるさ、からっぽ、お日さま。ろくに形もない場所なのに、まるで魔法みたい」カナはつぶやきました。するとレオは、こう付け加えました。「物理は、魔法の正体を教えてくれるんだよ。宇宙はその物理が、一番よく効く場所なのさ」

カナは、その夜のうちに地球の家族にあてて、短い手紙を書くことにしました。題は『お星さまの工場で、見つけた魔法』。

カナはぱちぱちと瞳を瞬かせました。「ごみのない、からの場所だから、いいものが作れるんだね!」

「そのとおり。宇宙は、ものづくりの最高の工場なんだ」

だけど、ごみが増えてしまった

でも、そこでレオは、少しだけ声をひそめました。

「宇宙が便利になると、困ったことも増えるんだ。古くなった人工衛星や、壊れたロケットのカケラ——『デブリ』っていう宇宙のごみが、ゆっくりだけど、たくさん落ちてる」

デブリはまるで高速道路を走る車のごみのように、ものすごい速さで地球をぐるぐる回っています。ぶつかったら、大事な工場も、人の乗った船も、大けがをしてしまいます。

「だからレオさんたちは、おそうじしてるんだ」

カナの言葉に、レオはうなずきました。

挿絵3
挿絵3

ごみが、宝に変わる

「デブリをおそうじするのは、けして損にはならないんだよ」

レオは、集めたデブリの入った箱を、ぴん、と指で弾きました。

回収したデブリは、その場で分解・加工され、新しく作るものの材料になります。まるで、宇宙に落ちていた宝を、拾って工場へ運ぶように。

つまりこういうことです。

■ デブリのおそうじで、わかること

• 名前:デブリ回収(おそうじ)

• 役目:宇宙の高速道路からごみを拾って、安全を守る

• しくみ:拾ったデブリを分解し、新しいものの材料(資源)へ生まれ変わらせる

• お金:ごみを拾う「おそうじ代」と、拾った資源を売る「もうけ」の2本立て

• つまり:宇宙を守りながら、きちんとお金ももうかる、すてきな商売

「目には見えないけれど、宇宙を毎日おそうじする人がいるから、みんな安心して空を飛べるんだね」

そう言ったカナは、まるで大人の顔をしていました。

挿絵4
挿絵4

今夜のレオの、宿題

見学の終わり、カナは帰る前に言いました。

「私、いつか地球から大事なものを運ぶお仕事か、星のごみを拾うお仕事か、どっちかに決めるんだ」

レオは、笑いながら答えました。

「どっちもいいお仕事だよ。けれど一つだけ、覚えていてほしい。宇宙の工場で何が作れるかも、おそうじでどうもうかるかも、ぜんぶ——それを誰かのために使いたいかどうかが、いちばん大事なんだ。星を繋ぐ糸は、ちゃんと、誰かの手に繋がっているから」

月へ帰るシャトルの窓の中で、カナは手を振りました。その手の先で、宇宙港の灯りが、まるで星空の一部のように優しく輝いていました。

この日の出来事は、オービタルの図書室に、たった一さつの絵本として残されました。題して『宇宙の工場と、おそうじ屋さんの話』。

物語は、これからを生きるひとりの子どもへ。そして、読んでくれるあなたへ。どうか、明日の空の下でまた会いましょう。

#宇宙開発 #宇宙ビジネス #スペースエコノミー #デブリ回収 #軌道上工場

元記事: https://note.com/keity717/n/nbf9d45fcee78