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piと禅——すべての道具を捨てたAIが教えてくれたこと

piと禅——すべての道具を捨てたAIが教えてくれたこと

piと禅——すべての道具を捨てたAIが教えてくれたこと

出典: note.com / 2026-05-16

piと禅——すべての道具を捨てたAIが教えてくれたこと

要約: 2026年5月、piの作者Mario Zechnerはすべてのツールをpiから削除した。「代替はない。創造的になれ」。これは禅問答だ。道具を奪われたAIは何ができるのか。そして、道具を奪われた人間は何を学ぶのか。

師のひと言

2026年5月16日。piの作者Mario Zechner(@badlogicgames)がツイートした。

「piからすべてのツールを取り除く。代替はなし。創造的になれ。」

そして彼は新機能をリリースした。pi -nbt。No Built-in Tools。読むことも、書くことも、コマンドを実行することも、ブラウザを操作することも——すべて禁止。

AIコーディングエージェントから「手」を取り上げた。

業界の誰もが「AIにもっとツールを」「もっと自律性を」と叫ぶ中で、彼は逆行した。逆行というより、別の次元に移動した

これは禅問答だ。

「すべての道具を奪われたとき、お前は何者か」

公案——「道具なしで何ができるか」

禅には「公案(こうあん)」と呼ばれる修行がある。師が弟子に投げかける、論理では解けない問いだ。

「両手を叩くと音がする。片手の音とは何か」

Marioがpiに投げた公案はこうだ:

「bash を奪う。 write を奪う。 browser を奪う。お前はまだpiか」

この問いに、piはどう答えるのか。

答えは一つ——考えることだ。

piはファイルを読み続ける(それは許可されている)。コードベースを理解する。文脈を記憶する。議論する。分析する。提案する。ただ、実行だけはできない。

これはAIの「制限」ではない。AIの純化だ。

実行という「ノイズ」を取り除いたとき、AIに残るのは純粋な知性だけである。

なぜ禅なのか——道具が人間を定義する時代

私たちは道具で自分を定義する。

「私はPythonが書ける」「私はPremiere Proが使える」「私はNotionで情報を整理できる」——すべて道具の話だ。

道具を奪われたら、私たちは何者か。

Marioのpi -nbtは、この問いをAI自身に投げかけると同時に、それを使う人間にも投げかけている

「お前はツールなしで何ができる。お前の価値はツールの習熟度ではなかったはずだ」

これはテクノロジーの話ではない。人間の本質の話だ。

Mario Zechner——コードに思想を焼き付ける男

piの作者について少しだけ。

Mario Zechner。オーストリア人。libGDXというゲームエンジンの作者であり、かつてGoogle Developer Expertでもあった。現在は48,500人のフォロワーを持つ技術思想家であり、Xには10万件以上の投稿がある。

彼の哲学は一貫している:

• 「MCPサーバーを作るな。CLIツールを作れ」——中央集権的な複雑さを拒否する

• 「Codexはツール出力を256行で切り捨てている。笑える」——巨人を恐れず批判する

• 「遅くやれ(Slow the fuck down)」——加速が正義の業界で唯一減速を説く

• スーパーの価格操作を暴き、極右のAI偽造ポスターの見分け方を教え、民主主義のために1万ユーロを寄付する

彼はサイファーパンクだ。権力を監視し、個人の自律を信じ、コードで世界を変える。

pi -nbtは、そんな男がたどり着いた**「最高のシンプルさ」**である。

「コードに思想を焼き付ける」——それができる人間は少ない。Marioはその一人だ。

実践—— pi -nbt をどう使いこなすか

最初は戸惑う。ターミナルに向かって「このバグを修正して」と打っても、piは動かない。コードを生成して提案することはできるが、ファイルに書き込むことはできない。

だが、すぐに気づく。

実行しなくても、理解は深い。

pi -nbt の真の使い方は:

① コードレビューを依頼する 実行できないからこそ、piはコードを「読む」ことに全集中する。バグの指摘、設計の問題点、改善提案——実行できないからこそ質が上がる。

② 設計を議論する 「このアーキテクチャはどう思う?」と聞けば、piはコードベース全体を理解した上で意見を返す。実行の心配がないから、自由に発想できる。

③ 学習の伴走者にする 新しい技術を学ぶとき、piに「先生」役を任せる。説明を求め、質問を投げ、議論する。ツールがないからこそ、深い対話が生まれる。

④ アイデアの壁打ち相手にする 「こんなプロジェクトを考えてるんだけど」——piは実装できなくても、アイデアの穴を指摘し、代替案を出し、リスクを洗い出す。完璧な壁打ち相手だ。

使えば使うほどわかる。pi -nbt は「制限」ではなく「集中」だ。実行というノイズを除去したとき、知性は本来の輝きを取り戻す。

禅の真髄——「不立文字」と「pi -nbt」

禅には「不立文字(ふりゅうもんじ)」という言葉がある。経典や言葉に頼らず、直接心を伝えること。

pi -nbt は不立文字に似ている。

ツール(経典・形式知)に頼らず、AIと人間が直接「考える」ことでつながる。そこにはマニュアルもベストプラクティスもない。ただ対話があり、理解があり、洞察がある。

Marioはこう言った。

「Get creative.」

これは命令ではない。招待だ。

道具を捨てた先に、創造性がある。シンプルの先に、深さがある。沈黙の先に、答えがある。

pi -nbt は、AIの禅だ。

参考:

• Mario Zechner (@badlogicgames) — X/Twitter

• mariozechner.at — ブログ

• pi.dev — pi公式サイト

• pi -nbt — 禅モード。すべてのツールを無効化する。

**著者:**KeiTy — piを愛用するサイファーパンク。note / X


この記事は note.com から KTBLOG に移行されました。元記事: https://note.com/famous_prawn2009/n/n5b51744d7962