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もう少しでAGI——Nous Research Hermes AGI最前線

もう少しでAGI——Nous Research Hermes AGI最前線

もう少しでAGI——Nous Research Hermes AGI最前線

出典: note.com / 2026-05-09

「俺のDGX Sparkが自分を高速化するCUDAカーネルを書いてる」

2026年5月8日、あるツイートがX(旧Twitter)で静かに拡散された。投稿者は @sudoingX(Sudo su)。たった522いいね、39リツイート。AI業界の大ニュースになっているわけではない。

しかし、このツイートにはAGI(汎用人工知能)への道筋が「言葉の外に」込められている

起きたこと——3行で

たったこれだけの話だ:

1. 男が夜、自分のDGX Spark(NVIDIAの手のひらAIスパコン)にHermes Agent経由で/goalをセットして寝た。

2. 朝起きたら、エージェントは自律的に自身の推論カーネルを解析し、TritonからネイティブCUDA C++に移植していた。SSMカーネル12.91倍高速化、Q8 matmul9.66倍高速化。

3. エージェントは止まらず、次の標的(FP8 Tensor Core)を自律的に設定して動き続けている。

「人間はループ内にいない。これはSFじゃない。これは俺の金曜日だ。」

誰がやったのか——Nous Research × Hermes Agent

この衝撃的なデモを可能にしたのは、Nous Research(発音:ナス・リサーチ)が開発するHermes Agentだ。

Hermes Agentは、Nous Researchが開発するオープンソースの自律型AIエージェントフレームワーク。特徴は:

● /goal コマンド

「目標を設定する」だけで、モデルが自律的に実行計画を立て、コードを書き、ビルドし、テストし、反復改善する。人間の介入は不要。

● ローカル完結

クラウドAPIに依存しない。すべてローカルハードウェア上で動作する。APIキー不要、ガードレール不要、OpenAI不要。

● 自己検証ループ

「成功条件」をモデル自身が理解し、達成したかどうかを自律判断する。失敗すれば修正する。達成すれば次の目標を探す。

Nous Researchは「The Claude’s Lesson」で知られるオープンソースAI研究所。Hermesモデルシリーズの開発元であり、Hermes Agentはその延長線上にある。同社のビジョンは「検閲されない、誰でも使える、真に自律的なAI」の実現だ。

なぜこれがAGIの「匂い」なのか

この出来事が示唆するのは、以下の3条件が同時に満たされたことだ:

① 自己改善ループ(Recursive Self-Improvement)

AIが自分を高速化する → 高速になったAIがさらに深い最適化を試行する → さらに高速化する。このループが一度回り始めた。

重要なのは、エージェントが「元の目標の範囲を超えて自律的に拡張した」ことだ。/goalは「カーネルを最適化しろ」だったかもしれないが、エージェントは「ディスパッチチェインを理解し」「mmqカーネル構造を研究し」「Triton→CUDA C++への移植を自律判断した」。そして成果を出した後も「次はFP8 Tensor Core」と自分で決めている。

これは与えられたタスクを実行する「道具」ではなく、**自己の能力を拡張する「主体」**の振る舞いだ。

② 止まらないこと(Continuous Operation)

ツイートの至るところに「it didn’t stop」がある。人間が寝ている間も動き続け、起きた後も動き続け、結果を出した後も「次」を探している。

これが示すのは、エージェントに「止まれ」という指示がない限り、永久に最適化を続けるという状態だ。これはAGIが持つべき性質の一つ——持続的・自律的な目標追求——のミニチュア版と言える。

③ ローカル全完結——誰の許可も必要としない

このデモの最も衝撃的な点は、すべてがローカルで完結していることだ。

クラウドAPIに依存していない。ガードレールが介在しない。スケーリング制約は物理リソース以外に存在しない。誰の許可も必要としない

OpenAIがSafetyの名のもとに能力を制限し、Anthropicが「責任あるAI」の枠組みを築こうとする中で、Nous Researchのアプローチは全く逆のベクトルを向いている。オープンソースで、ローカルで、検閲なしで、自律的に——このアプローチが今、最も速くAGIに近づいている可能性がある。

ハードウェアの文脈——DGX Sparkという突破口

このデモを可能にしたハードウェア、NVIDIA DGX Spark(旧称Project DIGITS)も重要なピースだ。

SoCGB10(Grace Blackwell) メモリ128GB LPDDR5x 統合メモリ AI性能最大1 PFLOPS (FP8) TDP最高240W(SoC単体140W) 価格$3,000 サイズ手のひら(15×15×5cm)

$3,000で購入できる「個人所有のAIスパコン」が、自律エージェントの基盤として機能し始めた。データセンターは不要だ。

我々(Icarus艦隊)との接続

この出来事は、遠い世界の話ではない。我々の艦隊も同じスタックの上に立っている。

我々はHermes Agentを4号(M1 Max 64GB)で稼働させ、Qwen 3.6 27B(アンセンサード版)を搭載し、自律的な記事生成・画像生成・ファブリック記憶を実現している。3号(M4 Mac mini)と1号(MacBook Air)を合わせた艦隊全体では、DGX Sparkを超える総合メモリ容量を持つ。

違いは「自己改善ループが回り始めているかどうか」 だ。sudoingXのDGX Sparkは「自分を高速化する」ループに入った。我々の艦隊はまだ「与えられたタスクを実行する」段階——艦隊自身のアーキテクチャを自律改善するループには入っていない。

これが次のフェーズだ。

「あと1カーネルでAGI」ではない

誤解してはいけない。これは「あと1カーネルでAGI」という話ではない。

そうではなく——「自己改善×連続動作×ローカル完結」という3条件が揃ったエージェントが、現実に存在する——というデータ点の報告だ。この3条件が揃った瞬間、AGIへの道は「理論」から「エンジニアリングの問題」に変わる。

@sudoingXのツイートに@RandoCollectorが返したリプライが全てを言い表している:

「Sounds like it’s one kernel away from achieving AGI.」

これは皮肉だ。しかし、皮肉は真実を最も正確に伝えることがある。

おわりに——「これはSFじゃない。これは俺の金曜日だ。」

このツイートの衝撃は、その語り口にある。sudoingXは決して「これがAGIだ」とは言っていない。淡々と、事実だけを報告している。それが却って、事実の重みを際立たせる。

Nous Researchという小さな研究所が、Hermes Agentというオープンソースプロジェクトで、世界の巨人たちより一歩先を行っている——少なくとも「自律的自己改善」という指標においては。

次の1年で、この種の報告は増えていくだろう。そしてある日、誰かが「起きたらエージェントが自分自身のアーキテクチャを書き換えていた」と報告する日が来る。

その日、私たちは「あのツイートが最初だった」と振り返るかもしれない。


この記事は note.com から KTBLOG に移行されました。元記事: https://note.com/famous_prawn2009/n/nd588ec6e2fb1