ものづくり革命総論 第1回:ものづくり革命総論 第1回:そもそもなぜ今なのか
ものづくり革命総論 第1回:ものづくり革命総論 第1回:そもそもなぜ今なのか
出典: note.com / 2026-06-01
お前のパソコンが工場になる日
そもそも君は「ものづくり」と聞いて何を思い浮かべる?
工場のベルトコンベア。作業着のおじさん。重たい機械。専門学校に行かないと触れない世界。
そう思うなら。その認識はあと3年で期限切れだ。 2026年の今、その答えはもう変わっている。
なぜか。話を始めよう。
3万円で買える工場
今、机の上に置ける大きさの機械がある。FDM方式の3Dプリンターだ。
これは何をするかと言うと
プラスチックの糸を溶かして積み重ねて立体を作る。
値段は3万円。スマホの半額だ。
コード書きの君に例えるなら。ターミナルにnpm startと打つだけでサーバーが立ち上がるくらいの手軽さだ。電源入れてWi-Fi繋げてアプリでポチるだけ。セッティング不要。失敗もほとんどない。
昔は工作マニアしか持ってなかった。セッティングに2日。10回印刷して3回しか成功しなかった。でも今はもう過去の話だ。

そもそも「3Dプリンター」って何種類あるの?
ここが一番大事な話だ。
「3Dプリンター」って一つの技術だと思ってないか?違う。方式の違うマシンが10種類以上ある。
これを一言で言うなら「物を作る議会」だ。
方式は違う。でも目指すものは同じ。まるで同じ料理を焼く・蒸す・揚げるで作るようなものだ。
議員は大きく3つの会派に分かれる。
第一会派:足す派(加法/Additive)
素材を積み重ねて形を作る。プログラミングで言うなら**append()**だ。どんどん足していく。
FDM:プラの糸を溶かして積む。一番安い。3万円。シャワージグや試作品(プロトタイプ)はこれで十分。 SLA/DLP:液体の樹脂を光で固める。表面ツルツル。フィギュアや歯型に。 SLS:ナイロンの粉をレーザーで焼く。頑丈。飛行機やロケットの部品にも。 金属3Dプリンター:チタンやステンレスの粉を溶かして固める。まさに最終手段。 第二会派:削る派(減法/Subtractive)
塊から削って形にする。こっちは**delete()**だ。いらないところを削る。
CNCルーター:ドリルが自動で動いて木材や金属を削る。 レーザーカッター:光で切る。アクリル板をパズルのように切り出す。 ウォータージェット:水の勢いで鋼鉄も切る。 第三会派:型で形にする派(成形/Formative)
型に素材を流し込んだり押し込んだりして形にする。これはtemplateだ。同じ型から大量に作る。
射出成形:プラスチックを溶かして金型(金属の型)にドン。一個1円。 鋳造:金属を溶かして型に流す。エンジンブロックなど。 鍛造:金属を叩いて強くする。日本刀もこれ。

小さいか大きいか — もう一つの軸
さっきは方式で分けた。今度はサイズで見てみよう。
つまり「どれくらいの大きさのものを作るか」だ。
AWSのインスタンスタイプを選ぶように。作りたいもののサイズで使う技術を選ぶ。
※MJF=Multi Jet Fusion(HPの粉末焼結方式)、LFAM=Large Format Additive Manufacturing(大型積層)、DED=Directed Energy Deposition(金属ワイヤー溶融)
面白いのは小さい技術ほど身近で、大きい技術ほど派手だってこと。
議会で言うと。足す派は小さい委員会から本会議まで全部カバーしている。でも本当に世界を変えているのは身近な方だったりする。

議会は気づかれずに世界を変えている
ここで一つ、友達に話したくなる事実を入れる。
今、世界で売られている補聴器の99%は3Dプリンターで作られている。
知らなかっただろ。
理由は簡単だ。人の耳の穴はみんな形が違うから。
コードで言うならfor文で回すように。一人ひとり違うデータ(3Dスキャン)を元に自動生成する。それが補聴器製造の現場だ。
これまでの工場は「みんな同じものを作る」ことで成り立っていた。データベースのレコードが全部同じだった時代だ。
でも補聴器は「みんな違うものを作る」必要がある。3Dプリンターはまさにそのためにある。1行1行違うレコードをそのまま立体にする技術だ。
同じことが歯の矯正でも起きている。Invisalign(インビザライン)って知ってる?歯並びを直す透明なマウスピース。あれも一つ一つ3Dプリンターで作られている。一日25万個。 ものすごい数だ。
でも補聴器は氷山の一角に過ぎない。
※補聴器のカード(diagram05.svg左上)— 補聴器シェル製造とInvisalignアライナー生産の様子をアイコンで表現

応援していないけどすごいやつら
3Dプリンターの真のすごさは「誰も気づかないところで世界を変えている」ってことだ。
派手な話題はロケットとか人工臓器とか義手とか。でも本当に静かに浸透しているのはこんな場所だ。
自動車工場のスペアパーツ。金型がもうない30年前の車の部品をデータからその場で印刷する。Gitの履歴から過去のコミットをチェックアウトするようなものだ。 潜水艦の金属部品を海上で印刷。輸送の必要がない。補給線という概念そのものを変える。 靴のソール。アディダスのFuturecraft 4Dはミッドソールを3Dプリント。一足一足違うクッション性を実現している。 考古学。恐竜の化石を3Dスキャンして欠けた部分を印刷で補う。博物館に並ぶ骨格標本の何割かはもう3Dプリントだ。 食品。チョコレートやパスタを3Dプリント。見た目がすごい。 スペアパーツはキャッシュのようなものだ。金型という重いキャッシュを持たずに。必要な時に必要なデータからレンダリングする。これが3Dプリンターの本質だ。

で、コード書きのお前はどこに行く
ここまでの話で分かったと思う。
3Dプリンターは「デジタルデータがそのまま形になる」最初の技術だ。
コードを書いて動くものを作ってきた君には。これは必然の進化だ。
ソースコードがアプリになるように。CADデータは立体になる。
このシリーズでは毎回こうだ。
一つ具体的な技術。
一枚の図解。
コード書きのための一言。
全部読み終わった時。君は「物を作る議会」の全ての議員を知っている。どの会派に誰がいて。何が得意で。いくらかかるか。すべて分かる。
そして分かるはずだ。
自分が次にどこに行けばいいか。
次回は「ソフトウェアの話」だ。
CADって何?スライサーって何?G-codeって何?
コード書きが最初に戸惑うあたりを一気に片付ける。
お楽しみに。

この記事は加藤出版社の自動出版パイプラインで生成されています
この記事は note.com から KTBLOG に移行されました。元記事: https://note.com/famous_prawn2009/n/n100a58bd2ae7