🐈⬛吾輩も電気が好きである
🐈⬛吾輩も電気が好きである
出典: note.com / 2026-01-18
——小学校区電気談義の巻
我輩は猫である。名前はまだ無い。 しかし主人の胸底に燃ゆる一念ばかりは、どうやら名を付けて呼んでも差し支えぬほどの熱気を帯びておる。 その名を仮に「小学校区電気大計画」とでも申しておこうか。
主人は近頃、妙に電気というものにご執心の様子で、 朝餉の前にも、夕餉の後にも、しきりに紙と鉛筆を取り出しては 「この町内の電池を一つに束ねられぬものか」 「夜の安い電気を買い込み、昼の高い刻限に皆へ分け与えれば、町内会費なぞむしろ黒字になろう」 などと、何やら風変わりな呟きを洩らしている。
我輩は台所の隅からその背を眺める。 主人の眉間には皺が寄り、しかしその皺の奥底には、 どうやら一種の愉悦と申すか、未来を構築せんとする者特有の昂ぶりが潜んでおるらしい。 これを外から見れば、まるで良寛和尚が座布団の上で悟りを得んとするかの姿であるが、 中身は実に俗っぽい、いや、極めて実際に役立つ“電気の算段”である。
◎ 主人、町内のバッテリーを一つの“命綱”と見立てる
聞けば、主人の胸中ではこんな案が育っておる。
「太陽光を新たに買うより、 家々に眠るモバイルバッテリー、ポータブル電源、 EVの蓄電池、キャンプ道具の電源…… これらを一つの“村の命綱”として束ねる方が、はるかに利口である。」
なるほど、猫の我輩とて、災害時に灯りひとつ無い暮らしはご免こうむる。 ましてや小学校の体育館のような広場では、冷蔵庫も通信機も動かねば、 人間どもは右往左往するばかりである。 その点、主人の案は生命の維持を先に置いた、まことに骨太な考えと言える。
◎ 主人、夜に安く買い、昼に賢く使う“電力裁定”を思いつく
主人はさらに筆を走らせながら呟く。
「関西電力は夜の電気が安い。 夜のうちに町のバッテリーへ入れ、 昼の高い刻限に使えば、町内会費が節約できるばかりか、 余った分で黒字に転じる可能性すらある……。」
我輩は目を細めて考える。 人間というものはどうも、 金と電気とが絡むと急に算盤を弾きたくなる生き物らしい。 しかし主人の試算を聞けば、なるほど一理ある。
夜の安電を仕入れ、 昼の高電を避け、 その差額を町全体の利益に転ずる。
これを世に「裁定取引」と申すらしいが、 猫から見れば、これはただの“利口な家計”にすぎぬ。
しかし、これを小学校区全体でやるというのが、 主人の考えの独創なるところであろう。
◎ 主人の視線が“電気”から“政治”へと滲み出す
主人の後ろ姿を眺めていると、 どうも電気の計算だけでは飽き足らぬと見え、 「これからは町内こそ賢明な政治が必要だ」 「国が動くより先に、地域が動く時代だ」 などと、少し背筋の伸びるようなことを言っておる。
我輩は猫であるゆえ政治は門外漢だが、 主人の語気から察するに、 単なる節約策でも、金儲けでもなく、 この町内を一つの“生き物”と見做し、 そこへ血潮を巡らせる算段らしい。
町内会費が黒字になれば、 電池はただの金食い虫ではなく、 未来を紡ぐ資産へと化けるのだと、主人は申す。
まことに、あっぱれな考えである。
◎ 結語 — 我輩から見た主人の姿
主人は静かに机へ向かい、 紙へ線を引き、数字を書き入れ、 ときおり遠くを見るような目つきをする。
まるでこの小さな町内を、 ひとつの“新しい国”に仕立て上げんとする風情である。
我輩は猫であるから、 その壮大なる構想のすべてを理解するわけにはいかぬ。 しかし一つだけ確かに感じ取れることがある。
それは—— 主人の考えは、我輩が日向に寝そべる家のように、 人々が安心して暮らせる‥
この記事は note.com から KTBLOG に移行されました。元記事: https://note.com/famous_prawn2009/n/nf1b2606b8415