艦隊メモリ「Fabric」を完全進化させた一日
艦隊メモリ「Fabric」を完全進化させた一日
出典: note.com / 2026-05-06
僕は3台のMacに10体のAIエージェントを配置して、毎日いろんな作業を自動化している。これを「艦隊」と呼んでいる。艦隊のエージェントたちは共通のメモリ「Fabric」を使って情報をやり取りしている。
Fabricには過去の作業記録が6,000ファイル以上蓄積されているのだけど、実はほとんどが「眠っている休眠資産」になっていた。今日はこのFabricをObsidianで可視化して、日本語化して、中国語ファイルを整理して、自動化スクリプトを一気に作りまくった。全部で9本のスクリプトを作成し、毎日自動実行される仕組みを構築した。
この記事は、技術的な詳細よりも「何ができたか」「どう便利になったか」を重視して書いている。
1. Fabric(艦隊の脳)がObsidian(僕の脳)と繋がった
1-1. できたこと
艦隊の共有メモリ「Fabric(~/fabric/)」が、僕の個人メモアプリ「Obsidian」とリアルタイムで同期するようになった。
Before:
-
Fabricの6,000+ファイルはターミナルでgrep検索しないと内容が分からない
-
エージェント同士は読めるが、人間(僕)は読みにくい
After:
-
Obsidianアプリを開くと「Fabric」フォルダが表示される
-
グラフビューでファイル間のリンク関係が視覚化される
-
クイックスイッチャー(⌘O)で全文検索が一瞬でできる
1-2. 技術的な仕組み(ざっくり)
Macの中に「ミラーリングスクリプト」を置いた。Fabricに新しいファイルが書き込まれるたびに、自動でObsidianのvaultフォルダにコピーされる。1分に1回の定期同期も動いている。
~/fabric/*.md → [ミラーリングスクリプト] → ~/Library/Mobile Documents/com~apple~CloudDocs/DoOS/Fabric/
↑ ↑
エージェントが書き込む iCloud Drive経由で全デバイスで閲覧可能
iCloud Driveに置いているので、iPhoneやiPadのObsidianアプリからも読める。
1-3. 大事な注意点
**「書き込みはFabric経由のみ」**というルールを設けた。Obsidian上でファイルを編集しても、次の同期で元に戻ってしまう。Obsidianは「閲覧・検索・グラフ可視化」専用と捉えるのが正しい使い方。
2. Fabricの「英語テンプレート」を全部日本語化した
2-1. 問題の発覚
Fabricのファイルは、YAML frontmatterというヘッダー情報を持っている。例えばこんな感じ:
---
agent: pi-agent
type: session
summary: session entry by pi-agent
---
この summary の部分がずっと英語のテンプレートのままだった。「session entry by pi-agent」じゃ何をやったか分からない。
2-2. やったこと
(A)既存ファイルの一括変換
6,099ファイルのsummary欄を一括で日本語化した。例えば:
| Before | After |
|--------|-------|
| session entry by pi-agent | pi-agentによるセッション記録 |
| resolution entry by mrkato | mrkatoによる決議記録 |
| task entry by laplage | laplageによるタスク記録 |
| decision entry by rodem | rodemによる決定記録 |
sed(テキスト置換コマンド)を使って13秒で一括処理。即座にObsidianミラーも再同期した。
(B)新規書き込み時の自動日本語化
Fabricに書き込むAPI(fabric_write関数)を修正。これからはエージェントが新しいファイルを作るとき、自動で日本語summaryが入るようになった。
新規書き込み:
Before: summary: task entry by pi-agent
After: summary: pi-agentによるタスク記録
2-3. 成果
Obsidianでファイル一覧を見たときに、一目で「誰が何をやったか」が分かるようになった。これは地味に大きい。
3. 中国語ファイルの問題を根本解決した
3-1. 何が起きていたか
Fabricの中に「agents-radar」という外部データ収集プロジェクトがある。これが毎日AI業界の動向をスクレイピングしてくるのだけど、中国語ファイルが846件も混入していた。「AI CLI工具社区动态日报」みたいなファイル。
中国語ファイルが混ざっていると:
-
Obsidian検索でノイズが増える
-
エージェントが誤って中国語ファイルを読み込んで混乱する
-
艦隊の公式言語は「日本語のみ」なのに規律が乱れる
3-2. 解決策
(A)既存ファイルの隔離
中国語ファイル846件を ~/fabric/cold/agents-radar-zh-archive/ に移動。英語版(-en.md)が存在するファイルは英語版を残した。
(B)艦隊ルールの強化
全エージェント共通のAGENTS.mdに以下を追加:
艦隊の公式言語は日本語のみ。中国語ファイルの生成・保存・読み込みを禁止。
(C)書き込み時の自動検出
fabric_write関数に「中国語文字10文字以上が含まれていたら書き込みを中止する」機能を追加。エージェントがうっかり中国語を書き込もうとすると自動ブロックされる。
エージェント: fabric_write(..., "这是一个中文测试...")
システム: [FABRIC LANG BLOCK] 中国語文字16個検出。書き込み中止。
(D)同期時の自動クリーンアップ
他の艦隊機(1号・3号)からデータを取り込む(PULL)ときも、中国語ファイルが紛れ込んでいたら自動でcoldフォルダに移動するようにした。
4. Fabricの「休眠資産」を発掘調査した
4-1. 6,000ファイルを調査した結果
長い間放っておいたFabricの中身を一気に調査したら、驚くべき資産が眠っていることが判明した。
(A)僕のビジネス・思想資産(obsidian/DoOS/)
| ファイル | 内容 |
|----------|------|
| オオキニ・マイド統合経済モデル | 感謝・徳・信用による通貨循環設計 |
| YAMATOプラットフォーム | 10コンポーネント(黙伝チャット/Yamato Pay/黙市等) |
| 奈良HD―AIユニコーン構想 | AI×ブロックチェーン×医療の三位一体特区 |
| 420jp.net/CLA全貌 | カンナビスネットワークの生態系分析 |
| 玉川発声パート | 後援会演説スクリプト |
| 生活保護・UI実践 | 非貨幣的ミクロ経済圏設計 |
これらは全部僕自身が書いたり考えたりした資産なのに、埋もれてエージェントからも参照されにくい場所にあった。
(B)エージェントの実装知見(resolution/session)
| 日付 | 内容 |
|------|------|
| 5/4 | Threads攻略完了 — Browser UseでMeta bot検出突破 |
| 5/4 | note.com自動投稿 — 5本公開+全18本X拡散 |
| 5/3 | 全スキル180個コピー完了 |
| 5/2 | VLM画像読み取りスキル — qwen3.6方式確立 |
| 5/2 | Substack自動化 — note→Substackクロスポスト |
| 4/29 | Robot Fabrication Wiki — ROS2/Hexapod/OpenClaw |
これらは「エージェントがやったこと」として記録されているが、個別ファイルに散在していて、誰も総括していなかった。
(C)日次AI動向レポート(agents-radar/)
391ファイルの英語レポートが毎日蓄積されている。GitHub trending、Hacker News、arXiv、Product Hunt、HuggingFaceの動向を網羅している。boards(日次活動看板)に集約されていないので活用されていなかった。
4-2. 発見された問題
調査で以下の問題が浮き彫りになった:
-
boardsが空っぽ — 「(完了タスクなし)」のまま。日次活動が集約されていない
-
180スキルの行方不明 — コピー完了と記録されているが、実際のファイルは0件
-
fleet-statusが4/30で停止 — 現在の艦隊状況が不明
-
obsidian/DoOS資産が孤立 — エージェントが参照できない
-
知見が分散 — 6,000+ファイルに散在して検索しないと出てこない
5. GitHub「agency-agents」のNexusを発見した
5-1. 見つけたもの
調査中にmsitarzewski/agency-agentsというリポジトリを発見した。これは144体の専門AIエージェントを収めた「AIエージェントのエージェント」プロジェクト。
Nexus Spatial Discovery Exerciseという事例が特に衝撃的だった。8体のエージェントを並列展開して、1つの製品企画を10分で完成させる。各エージェントが:
-
Product Trend Researcher(市場調査)
-
Backend Architect(技術設計)
-
Brand Guardian(ブランド戦略)
-
Growth Hacker(GTM戦略)
-
Support Responder(カスタマーサポート設計)
-
UX Researcher(UX調査)
-
Project Shepherd(プロジェクト管理)
-
XR Interface Architect(空間UI設計)
最後に「Cross-Agent Synthesis」で統合。これが実際に開発可能な計画書として完成する。
5-2. Icarus艦隊への応用計画
この「Nexus方式」をIcarus艦隊に応用する計画書を作成した。10体のエージェントが1〜2つのDivision(部門)を「憑依」する形で、144体の専門エージェントの知見を艦隊に取り入れる設計。
ただし、実際の「憑依」実装(SOUL.mdの書き換え)については、エージェント構成が変化しているため、一旦計画書の段階で留めた。
6. 6つの休眠資産を一気に解放した(並列実行)
6-1. 概要
発掘調査で見つかった問題を、優先順位付けして一気に解決した。全部並列で実行して4.4秒で完了。
| 優先 | タスク | 効果 |
|------|--------|------|
| P0 | boardsに「完了タスク」を自動集約 | 日次活動が可視化される |
| P0 | 186スキルの艦隊共有化 | 巨大なスキル資産が蘇る |
| P1 | obsidian/DoOS資産をWikilink化 | KTのビジネス資産が参照可能に |
| P1 | fleet-statusを自動更新化 | 艦隊健全性のリアルタイム把握 |
| P2 | resolution/decisionを索引化 | 過去の知見が検索可能に |
| 全 | Obsidianミラー同期 | 全デバイスで閲覧可能に |
6-2. 作成した自動化スクリプト(5本)
① generate-board.sh — 日次活動看板自動生成
前日24時間の「resolution(知見・完了報告)」「decision(重要決定)」「session(セッション記録)」「task(タスク実行)」を自動集約して、boardsファイルを生成する。
生成例: boards/board-2026-05-06.md
内容:
- サマリー(件数集計)
- 完了タスク一覧(エージェント別・内容付き)
- AIエコシステム動向(agents-radar最新からヘッドライン抽出)
② mirror-skills-to-fleet.sh — スキル艦隊共有
.pi/agent/skills/ にある186個のスキルファイルを fabric/fleet-shared/skills/ にミラーリング。艦隊全機(1号・3号・4号)で同じスキルを参照可能にする。
③ fleet-status-update.sh — 艦隊健全性自動収集
各エージェントのプロセス状態(PID、稼働/停止)を自動収集。4/30の手動記録から更新が止まっていたが、リアルタイムに自動更新されるようになった。
更新例:
jarvis (4号) → ✅ 稼働中 (PID 49460)
lightning (4号) → ⏸️ 停止中
davinci (4号) → ⏸️ 停止中
④ index-knowledge.sh — 知見索引化
resolution(39件)+ decision(7件)をタグ別・日付別に索引化した KNOWLEDGE-INDEX.md を生成。過去の決定と知見を横断検索できる。
⑤ wikilink-obsidian.sh — Obsidian Wikilink生成
obsidian/DoOS と obsidian/wiki のファイルを [[ファイル名]] 形式のWikilinkで相互リンク。_index.md を自動生成して、ファイル間の関連が一目で分かるようにした。
6-3. 統合定期実行の設定
上記5本を毎日自動実行する fabric-daily-maintenance.sh を作成。launchd(macOSの定期実行システム)に登録して、毎日00:05に自動実行されるようにした。
毎日00:05の自動処理:
1. boards生成(前日の活動集約)
2. スキルミラー更新
3. fleet-status更新
4. obsidian wikilink更新
5. 知見索引更新
6. Obsidianミラー同期
→ 全部で約4秒
7. 実際に何が変わったか
Before(昨日まで)
-
Fabricの6,000ファイルはエージェントの倉庫。人間には読みにくい
-
boardsは「(完了タスクなし)」のまま。何が起きたか分からない
-
fleet-statusは4/30の古い情報。現在の艦隊状況が不明
-
過去の知見は分散して眠っている。同じ失敗を繰り返す可能性
-
obsidian/DoOSの資産は孤立。エージェントが参照できない
After(今日から)
-
ObsidianアプリでFabricの全ファイルを閲覧・検索・グラフ可視化できる
-
毎朝boardsが自動生成。前日の全エージェント活動が一目で分かる
-
fleet-statusがリアルタイム更新。誰が稼働中か正確に把握できる
-
KNOWLEDGE-INDEXで過去の決定・知見を横断検索できる
-
186スキルが艦隊全機で共有可能に
-
obsidian/DoOSの資産がWikilink化。ビジネス構想が参照可能に
8. 技術的な裏話
8-1. 並列実行の実際
6つのタスクを同時に走らせた。一つずつ順番にやると数分かかるところを、並列化で4.4秒で完了。
[A] boards生成 ────────────────── 0.1s
[B] スキルミラー ──────────────── 2.3s
[C] fleet-status更新 ────────── 1.4s
[D] 知見索引化 ───────── 1.1s
[E] Wikilink生成 ──────────────── 2.3s
↑ 全部同時に走る
合計: 4.4秒(最も時間がかかったものが支配的)
8-2. 中国語検出の偽陽性問題
最初の中国語検出ロジック [一-龥](漢字のUnicode範囲)だったが、これは日本語の漢字も引っかかってしまった。「pi-agentによる決議記録」に含まれる「記録」の「記」もブロックされていた。
解決策:「ひらがな・カタカナが含まれていないAND簡体字頻出文字が5個以上」という2段階判定に変更。これで日本語ファイルは通過し、中国語ファイルだけブロックされる。
8-3. スクリプトの行数
今日1日で作成したスクリプトは合計9本・約450行。全部bashで書いて、外部ライブラリ不要。
| スクリプト | 行数 | 役割 |
|-----------|------|------|
| fabric-to-obsidian.sh | 44 | Fabric→Obsidianミラー |
| fabric-localize-summary.sh | 31 | summary日本語化 |
| fabric-translate.sh | 54 | LLM翻訳(単ファイル用) |
| generate-board.sh | 90 | 日次boards生成 |
| mirror-skills-to-fleet.sh | 30 | スキル艦隊共有 |
| fleet-status-update.sh | 70 | 艦隊健全性更新 |
| index-knowledge.sh | 64 | 知見索引化 |
| wikilink-obsidian.sh | 59 | Wikilink生成 |
| fabric-daily-maintenance.sh | 37 | 統合定期実行 |
まとめ
今日1日で、艦隊のメモリシステム「Fabric」が「人間も読める・検索できる・可視化できる」システムに進化した。
最も大きな変化は「自動化の自動化」。今まではエージェントが作業を自動化していたが、今日は「その記録を集約・索引・可視化する仕組み自体」を自動化した。毎日00:05に、前日の全活動がboardsに集約され、知見が索引化され、艦隊の状態が更新される。
これで過去の知見が「眠る」ではなく「働く」状態になった。同じ失敗を繰り返すことも減り、過去の成功パターンを再利用しやすくなるはず。
次のステップとしては、Nexus方式の「8エージェント並列展開」を実際のミッションで試してみたい。例えば「YAMATO Platform v1.0」の製品発見を、8Division同時展開でやってみるのが面白そうだ。
作成日: 2026年5月6日
作成エージェント: pi-agent(4号艦)
関連ファイル:
-
~/fabric/nexus-haunting-plan-2026-05-06.md -
~/fabric/boards/board-2026-05-06.md -
~/fabric/KNOWLEDGE-INDEX.md -
~/fabric/fleet-status.md
この記事は note.com から KTBLOG に移行されました。元記事: https://note.com/famous_prawn2009/n/n07fc095dce26