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AIエージェント ·

【1】AIエージェントを「使いこなす」ための無料スキル集——David Ondrej氏の貢献を、奈良の現場から活用する

はじめに——「hundreds of hours of trial & error」の結晶

AIコーディングエージェントを本気で使い込んでいる人なら、一度はぶつかる。「Claude Code と Codex と Gemini、どれをいつ使うべきか」「複数のエージェントをどう並列で回すか」「自律実行のループはどう作るか」。

そうした実践知を、たった一人の開発者が無料で公開してくれた。David Ondrej 氏(YouTube登録者38万人超、AIスタートアップ Agent Zero の CEO)だ。彼が2026年6月に GitHub で公開した davidondrej/skills は、自身の「何百時間もの試行錯誤」を25個のスキル(Agent Skills)にまとめたもの。執筆時点で GitHub スターは968。

私は奈良県・鶴舞地区で、高齢者向け移動支援の自動化や地域特化AI(ならしLLM)に取り組みながら、Hermes Agent を中心に複数のAIエージェントを運用している。このスキル集は、まさに私の「エージェント艦隊」運用の思想と重なる部分が多い。

この記事では、David 氏の努力に敬意を表しつつ、日本の読者向けに「何が入っていて、どこで役立つか」をわかりやすく解説する。


Agent Skills とは——なぜ「ただのMarkdown」が重要なのか

このスキル集は、Anthropic が2025年末にオープン標準化した Agent Skills 形式(SKILL.md)で書かれている。これがミソだ。

  • 仕様は agentskills.io で公開され、すでに Claude Code / ChatGPT(Codex) / Gemini CLI / GitHub Copilot / Cursor など30以上のプラットフォーム が対応。
  • つまり 同じスキルファイルが、どのエージェントでも動く。Claude で書いた手順を、Pi で、Hermes で、そのまま再利用できる。

「エージェントごとにプロンプトを書き直す」地獄から、私たちは抜け出せるようになった。David 氏はこの標準を巧みに使い、自分のノウハウを誰でも使える形にした。


25スキルを5分野に整理した

導入した25スキルは、大きく5つのカテゴリに分かれる。

① エージェント起動・統制(8スキル)

複数エージェントをどう回すか。

  • handoff:作業の途中状態を、次のエージェントがゼロ記憶で引き継げる1枚のメモに圧縮する。
  • agent-self-scheduling:エージェントに自分でタスクをスケジュールさせる(Hermes の cron に相当)。
  • goal-loop:/goal の「計画→実行→検証→繰り返し」ループの書き方。
  • codex-subagent:OpenAI Codex をサブエージェントとして起動。
  • cmux:macOS 専用の端末アプリ。複数エージェントを1画面の並列ペインで管理し、終わったら青く光って知らせてくれる。
  • markdown-rendering / run-deep-swe / fable-safe-prompt:補助・評価・安全。

② 環境・セットアップ(3スキル)

  • anti-sleep:Mac がスリープしないよう caffeinate で起動維持。長時間の自動化テストに便利。
  • setup-help:複雑なセットアップを1ステップずつ案内。
  • pi-custom-model:Pi エージェントに任意のモデルを登録。

③ 調査・Web(6スキル)

  • research-prompt:深層調査用のプロンプトの書き方。
  • deep-research / deepapi:David 氏自身が開発中の統合API「DeepAPI」で、Webスクレイプ・X/LinkedIn/GitHub/YouTube抽出・メール・画像生成・深層リサーチを1つのキーで。
  • youtube-transcript:YouTube の字幕を取得。
  • browser-harness:ログイン必須のサイトもブラウザ操作で抽出。
  • pi-web-search:Pi 専用のWeb検索。

④ スキル作成・配布(4スキル)

  • effective-agent-skills:「良いスキルを書く」ための大全。誰かがスキルを自作・共有したいなら必読。
  • distribute-skill-to-all-agents / push-skill-to-github:複数エージェントへの配布とGitHub管理。
  • folder-specific-claude-and-agents-md:フォルダごとに「このプロジェクトの約束事」を書いた AGENTS.md を置く。

⑤ 思考・文書化(6スキル)

  • brain-to-docs:Q&A で頭の中のビジョンを README+ADR に抽出。
  • interview-style-doc-building:1問ずつ質問→ファイルに書き込み→次へ、で戦略文書を構築。
  • grill-me / teach / short / read-all-adrs:ブレスト、教育、要約、意思決定記録。

私(奈良の現場)が特に重宝している3つ

25個すべてに価値があるが、地域課題にAIを使う立場から特に効いた3つを挙げる。

1. handoff(引き継ぎ) 高齢者支援のシステム改修は、朝の送迎業務の合間に少しずつ進める。セッションを区切るたびに「今どこまでやったか」を人間が説明するのは非効率だ。handoff で自動的に引き継ぎメモを作れば、夜に別のエージェントがそのまま再開できる。

2. anti-sleep(起動維持) 電話予約の自動応答システムの長時間動作試験では、Mac がスリープすると事故になる。これを1行で防げる。

3. brain-to-docs / interview-style-doc-building(文書化) 「ならしLLM」のような地域プロジェクトは、住民・行政・研究者への説明材料が命。頭の中の構想を対話で文書に落とすこの手法は、私の北極星(奈良女子大でAIを教える)そのものに直結する。


David 氏の哲学——「エージェントは道具、人がオーケストレーションする」

25スキル全体に貫くのは、こうしたスタンスだ。

目的別に最適なエージェントを選び、cmux で束ね、SKILL.md で知識をポータブルに共有し、自律実行させる。

私の「4号機艦隊(Hermes 中心・pi-coding-agent・fabric/gbrain 連携)」も、本質的に同じ思想だ。一つの巨大AIに頼るのではなく、役割ごとに最適なエージェントを編成し、人間が全体を指揮する。

この考え方こそが、今後の AI 活用の標準になっていくと私は見ている。


おわりに——共有の文化に感謝を

David Ondrej 氏は、競合が隠し持ちがちな実践ノウハウを、無料かつオープン標準の形で世界にくれた。私たちユーザーにできる恩返しは、それを使い込み、さらに自分の知見をスキルとして還元することだ。

このスキル集は github.com/davidondrej/skills から誰でも入手できる。Agent Skills 対応エージェントを持っていれば、今日から使える。

ぜひあなたも、自分の「エージェント艦隊」を編成してみてほしい。


(本記事は、導入時に各スキルの実ファイルを全読みし、David 氏の背景・cmux/Pi/DeepAPI/DeepSWE/Claude Fable 5 について並列ディープリサーチを行った上で執筆した。)