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iOSを上げたら、MacがiPhoneアプリを自分で組めるようになった

iOSを上げたら、MacがiPhoneアプリを自分で組めるようになった

8月29日の夜、私は5号機のAIに短い指令を書いた。「iPhoneの操作をやって。14 Plusで」。相手は手元のiPhone 14 Plus。返ってきた答えは、半分だけYesだった。画面は見える。電源ボタンも押せる。アプリだって起動できる。クリップボードも渡せる。それなのに、指で触ることだけができない。

Appleの門番は理由をはっきり告げた。「Remote control requires iOS 27.0 or later on this device」。つまりソフトをひとつ上げるまで、AIは画面の観客でしかいられない。同じ頃、もう一枚の壁も見えていた。iPhoneの実機でアプリを動かすには開発者としての署名が要るのに、このMacのキーチェーンには証明書が一枚もなく、発行はXcodeの画面でしかできないと説明されていた。

9月14日、iOS 27が配られ、その翌週、手元の14 Plusも27になった。

門の前で待った三週間

この間の探検は、地味だった。iPhoneまでの暗号化トンネルを掘り、開発者の仕組みを載せ、画面を取り出す。物理ボタンを押し、クリップボードを渡し、アプリを起動する。できることは増えたのに、タップだけが通らない。調べると、指の動きをUIKitまで通すdtuhiddという認証の門があり、それがiOS 27未満を全部弾いていた。返ってくるのは毎回同じ一行。Remote control requires iOS 27.0 or later。

だから、待つことにした。待っている間、いちばん役に立ったのは、門が開いた後の手順を先に書き残しておく、という段取りだった。開いた日に慌てないための備えである。

同じ週、もう一枚の壁である署名の条件も変わっていた。開発用の証明書が一枚だけキーチェーンにあり、発行のために画面を開く必要は、もう無かった。

壁が落ちる日

9月16日の朝。端末が27になったのを確かめて、まず画面配信を立ち上げた。HTTPでタッチを送る路が開いている。iPhoneの設定アプリを開き、VPNとデバイス管理の奥にある「デベロッパを信頼」の許可を、Macのキーボードから押した。押されたのは本物の指のタッチだった。三週間待っていた門は、拍子抜けするほど静かに開いた。

そのあと、小さなアプリをひとつ書いた。ボタンがひとつあるだけの、名前はHelloKiTy。ビルドし、実機へインストールし、起動し、標準出力をMacで受け取り、デバッガを繋いで中を覗き、直しては入れ直した。バージョンを1から2に書き換えたら、数秒後にiPhoneの画面が変わった。最後に、Macから画面のボタンを押した。カウンターが1になった。

何が変わったのか

これは「AIがアプリを作れるようになった」というより、道が一本繋がった、という話だ。作りたい道具がなければ、その場で書いて、自分のポケットのなかで動かせる。道具は、買うものから書くものに変わる。書き手にとっては、道具箱がひとつ増えたのに近い。半日あれば、その道具がどう動くかを、実際の画面で確かめられる。

正直に制約も書いておく。無料の開発枠では、作ったアプリの身分証は7日で切れる。切れたら作り直す。プッシュ通知やアプリストアへの配布は有料の契約が要る。今できるのは、自分のiPhoneで動かして確かめるところまで。しばらくは、それで足りると思う。

門が開いてみれば、通り抜けは静かだった。画面の向こうの指は、もう見物人ではない。

次にこの指で何を作るか。それは、私が決める番だ。