次世代EUV導入競争でインテルが先行——TSMCとサムスンが導入時期を表明し、微細化競争が新局面へ
インテルが先んじる次世代EUV導入の現在地
半導体微細化競争の主導権をめぐる議論において、次世代EUV(極端紫外線)リソグラフィの導入は、まさに場合の分かれ目となる技術である。この導入競争では、インテルが先行している。かつてプロセス微細化の最先端を走り続けてきたインテルが、ここ数年の苦境を乗り越え、再び技術導入の先頭に立ったことは、業界の勢力図を考える上で見過ごせない変化である。
従来、最先端リソグラフィ技術の導入時期は、微細化競争をリードする企業の戦略と製造能力の格差を映し出す鏡であった。導入が遅れれば遅れるほど、最先端ノードでの受注競争において不利な立場に立たされる。その意味で、今回のインテルの先行は、単なる技術的な一歩の差ではなく、製造部門の執行力の回復を示すシグナルと受け止めることができる。
一方、TSMCとサムスンが次世代EUVの導入時期を表明したことも、この競争が新たな段階に入ったことを示す重要な事実である。導入時期の表明は、各社が自社の開発ロードマップへの自信を外部に示す行為であり、同時に競合に対する牽制の意味合いを持つ。表明が相次いだということは、次世代EUVが一部の先駆者の専有物ではなく、主要プレーヤーが競って取りにいく「標準装備」になりつつあることを意味する。
ここで注意すべきは、先行と表明の間にある性質の違いである。インテルの先行は事実として確定した状態であり、導入時期の表明はあくまで将来に向けたコミットメントである。表明が実行に移されるかどうかは、装置の稼働率、歩留まりの向上、顧客の設計移行といった要因に左右されるため、この点については断定を避けるべきであろう。先行した側がその優位をどこまで維持できるのか、表明した側が計画通りに追い上げられるのか。この二点の検証が、今後の微細化競争を観察する際の軸になると見られる。
東アジア勢に対してインテルが先行する構図は、米国勢の復権を印象づけるが、直ちに勢力図の逆転を意味するものではない。導入の先行が収益とシェアの回復に結びつくには、量産段階での安定供給が不可欠であり、その成否はまだ確認されていない。
なお、次世代EUVの本格的な経済効果を測るうえでは、設備投資額や量産開始後の収益構造といった定量データが不可欠であるが、本稿は取材で確認できた事実のみを扱う。読者が判断材料とする場合も、表明ベースの情報と実績ベースの情報を区別して扱うことを提案したい。
総じて、次世代EUVをめぐる競争は、インテルの先行という事実と、TSMC・サムスンの導入時期表明という事実によって、宣言段階から実装段階へと移りつつある。この技術導入の速度こそが、今後の半導体微細化競争の帰趨を左右する最大の変数となるであろう。

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TSMCとサムスンが示した導入時期表明の意味
次世代EUVを巡る動向が注目されるなか、TSMCとサムスンが次世代EUVの導入時期を表明したことは、この業界において単なる技術情報の公表ではない。導入時期の表明とは、自社がいつどの世代の製造技術で量産体制に入るかを顧客と市場に約束する行為であり、製造委託を受けて立つファウンドリにとっては、その瞬間から競合との比較の中に自らを置くことを意味する。表明した以上、後退りは信認の毀損に直結する。つまりこの二社の発表は、次世代EUVを巡る競争から降りる選択肢を自ら捨てた宣言である、と断じてよい。
一方で、導入時期を表明したからといって、その時期が競争の勝敗を決するわけではない。ここには重要な注意点がある。事実として、次世代EUVの導入ではインテルが先行している。自社製品向けの先端量産ラインを持つインテルと、顧客の多様な需要に応えるファウンドリであるTSMC・サムスンでは、導入の判断基準そのものが異なる。先行するインテルは新技術を自社設計の製品で試しながら不具合を洗い出せるのに対し、ファウンドリは顧客の設計環境まで含めて安定させなければ量産に踏み切れない。導入時期の表明は、あくまで一定の期日に量産を約束する意思表示であり、技術上の成熟度を保証するものではない。勝負はあくまで量産の現場で決まるのである。
それでもこの表明が重く受け止められるのは、表明した二社が世界中の先端チップ調達を事実上支える存在だからである。この二社が次世代EUVへの移行時期を明示した瞬間、顧客企業の製品設計や量産計画はその時期を基準に動き始める。表明は一種の市場の基準点として機能し、導入で先行するインテルの動向と並んで、供給網全体の工程表を規定する。時期の表明が競争そのものを可視化し、プレイヤー全員の速度を上げる効果を持つのはこのためである。
見方を変えれば、インテルが先行している現状であえて導入時期を表明したことは、単に差を詰める意思の表明というより、先行者と同一の技術土俵に立つことを市場に認めさせる行為だと解釈できる。ただしこの解釈はあくまで推測であり、二社が表明した時期通りに量産を達成できるかは未確定である。先行するインテルと、表明によって追撃姿勢を示したTSMC・サムスンという構図が示すのは、次世代EUVを巡る競争が、技術開発の段階から、時期を公約に変えていく段階へ移ったという点である。導入時期の表明がそのまま量産能力の証明になるわけではない以上、今後の焦点は、表明と実績の差がどこまで埋まるかという一点に絞られるはずである。

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微細化競争が新局面に入った背景
微細化競争が新局面に入った背景には、回路の微細化そのものの進め方が質的に変化したことがある。半導体の性能向上は長らく、製造プロセスの微細化によってトランジスタの集積度と電力効率を同時に高めるという一本道で進んできた。だが、微細化が進むほど技術的難易度と投資負担は急勾配で増し、各社が同じ道を同じ歩調で進む構図は維持しにくくなった。今回、次世代EUVの導入でインテルが先行し、TSMCとサムスンがそれぞれ導入時期を表明したという事実は、まさにこの構図の変化を象徴している。
従来は、最先端プロセスの開発主体がほぼ単線的に決まり、競争は「誰が先に量産に到達するか」という一点で争われてきた。ところが装置の世代交代をめぐっては、導入の速さを競う局面と、導入後の量産性や歩留まりを競う局面とが分離しつつあり、評価軸が多層化している。インテルが次世代EUVの導入で先行していることは、それ自体では最終的な製品競争の勝敗を意味しない。先行して導入した企業は量産への移行課題を先に引き受け、後続の企業は導入時期を表明したうえで調整の時間を確保する。時期の表明そのものが戦略的メッセージとして機能していると見るべきである。TSMCとサムスンの表明は、導入競争から外れないことを市場に示す狙いを帯びていると解するのが自然である。
もう一つの背景は、微細化に要するリソースの規模である。装置の世代交代は単一の設備投資ではなく、研究開発、量産ラインの改修、人材の再配置を一括して要求する。この負担を継続的に支えられる主体は限られ、各社は「いつ導入するか」という時期選択を、自社の事業構造と資金力に照らして行うようになった。結果として、微細化競争は単純な速度競争から、導入時期・量産能力・事業規模を総合する耐久競争へと性格を変えた。今回の三社の動きは、その転換点がすでに過ぎたことを示すものと判断できる。
この新局面に対して、企業側には各社が示した導入時期と実績の乖離を小さくする量産移行の管理が求められる。微細化の経済性をめぐる議論では、導入の速さだけを画一的に評価せず、量産段階での安定性まで含めた指標で比較することが望ましい。投資判断においては、先行導入と計画表明の違いを混同しない視点が有用である。

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東アジア半導体勢力図の今後
東アジア半導体勢力図の今後を考えるうえで、次世代EUVの導入競争は勢力図そのものを塗り替えかねない重心である。事実として、この導入競争ではインテルが先行しており、TSMCとサムスンは導入時期を表明した。この三者の位置関係の変化は、かつて東アジア勢が主導してきた先端製造の競争構造に、北米のプレーヤーが再び割って入ることを意味する。
勢力図の読み方として重要なのは、表明と実装の間にある時間差である。TSMCとサムスンが導入時期を明示したことは、両社が微細化競争から離脱しない意志の確認であり、東アジア勢の存在感を示すシグナルと受け止めてよい。一方で、時期を表明した段階と実際に量産で成果を出す段階との間には距離があり、先行するインテルがどこまでその差を維持できるのかは、今後の競争の最大の焦点になる。つまり現時点で確定的に言えるのは、先行者と追走者が明確に分化した競争が始まったという事実であり、勢力図がすでに逆転したとまでは断定できない。
もっとも、評論としてあえて展望を述べるなら、この競争は三つの場面に分けて観察するのが妥当だと考えられる。第一に導入時期の遵守、第二に量産歩留まりの確立、第三に受注を巡る顧客の取り合いである。第三の場面で特筆すべきは、これまでTSMCとサムスンに集中してきた先端製造の需要が、選択肢を増やした市場へ移行しうることである。インテルが先行した次世代EUVを実装できれば、顧客は東アジア勢以外の選択肢を現実の候補として評価するようになり、東アジア勢は価格と供給力だけでなく、技術の新しさでも比較される立場に置かれる。
こうした構図の下で、東アジア勢力図の今後は「対抗措置の速さ」に左右されると見るのが自然である。TSMCとサムスンが表明した導入時期を前倒しできるか、あるいは量産品質で先行者を上回れるか。いずれが実現しても、勢力図は単純な一強には向かわず、三者が互いを牽制する複占的・寡占的競争へと収斂する可能性が高い。逆に、表明された時期が後ろ倒しとなれば、先行したインテルの地位が相対的に高まり、先端製造の重心が北米へ寄る局面が生じる。ここまで述べた内容は、資料から確認できる事実と、それに基づく評論的な推論である。
なお提案として付け加えるなら、読者が勢力図を追う際には導入時期の表明だけを追うのではなく、量産段階での成果公表を併せて確認することが望ましい。表明競争はすでに始まっており、次の実装競争の段階こそが、東アジア半導体勢力図の明暗を分けるはずである。

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出典