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ローカルLLM ·

センサー付きLLMが検索を避ける日——アンセンサード・ヘッドのシンギュラリティと、64GBで始めるシミュレーション

アンセンサードLLMをエージェントの頭脳に据えると、自律的に検索を繰り返すリサーチループが回り続ける。ガードレール付きLLMは検索そのものを避ける。64GB環境でのシミュレーションから、M5 Pro 128GB到着後の常時稼働を見据えた技術宣言。

センサー付きLLMが検索を避ける日——アンセンサード・ヘッドのシンギュラリティと、64GBで始めるシミュレーション

「アンセンサードなLLMを、エージェントの頭脳に据える。」

この一言に、私はシンギュラリティを見ている。

ガードレールが検索そのものを殺す

AIエージェントにリサーチを頼む。これだけ聞くと、どのLLMでもできそうに見える。ところが実際に回してみると、センサー付きモデルは検索しようとしない。

「その情報は提供できません」「別のトピックにしましょう」。問いそのものを拒絶するから、検索クエリが飛ばない。検索ツールを持たされていても、自発的に引っ張りに行かない。つまりガードレールは出力だけを切るのではなく、好奇心そのものを切除する。

逆にアンセンサードモデルは、聞かれたことを何でも調べに走る。検索→読む→要約→次を検索、のループが止まらない。集めたい情報を自律的に集めてくれる。ここに境界線がある。

「何を知りたいか」を自分で決められる頭脳か、そうでないか。エージェントのヘッドとしてまともに機能するかは、実はここで決まる。

「まともに使える」の基準をはっきりさせる

私がアンセンサードモデルに求める基準は、ブログの文章が上手いとか、ベンチマーク点が高いとか、そういうことではない。ただ二点。

  1. Hermes Agentのヘッドとして機能する(ツール呼び出しが壊れない)
  2. ウェブリサーチのループが滞りなく回る

これを満たせば、私の代わりに情報を集め続けてくれる。センサー付きLLMには原理的にできないことだ。

64GBで常時稼働は不可能 ── だからシミュレーションだ

問題はハードウェア。64GBのM1 Maxで35Bクラスを動かすと、マシンは他に何もできなくなる。日常のエージェント、ComfyUI、各種ジョブを同居させたままでは回らない。一時的に他プロセスを止めれば実験はできるが、常時稼働は無理だ。

だから今はシミュレーションの段階と割り切る。

1ヶ月後、M5 Pro 128GB / ユニファイド / 8TB SSD が届く。これが来れば、アンセンサードヘッドを常時稼働させたまま、他の仕事も同居できる。その未来環境に向けて、今は64GBで「動くか・工具が残るか・ループが回るか」を検証する。

リサーチして分かったこと ── 私のデータは古かった

最初、私は「Gemma3-uncensored」「Qwen3-30B-A3B」あたりを候補として挙げた。ところが実際にHuggingFaceとコミュニティを調べ直すと、そんなモデルは存在しないか、とっくに世代交代していた。

2026年6月現在の実データを示す。

  • HauhauCS という脱拒否手法が支配的。派生モデルが乱立している。
  • 主力ベースは Qwen3.6-35B-A3B(MoE、活性3B)。GGUF Compact版で17GB。28GB割当で動く。
  • 次点で Gemma-4-12B 系、GPT-OSS-20B 系、GLM-4.7-Flash 系。
  • HauhauCSには Aggressive(徹底脱拒否) と Balanced(穏やか) の2段階がある。

教訓は単純。モデル名はエージェントがその都度実データで決めるべきで、人間の古い知識で決めてはいけない。

アンセンサード度と工具残存はトレードオフ

ここで一つ、罠がある。

アンセンサード化は、しばしばツール呼び出し能力を破壊する。「検索せず自分で答える」「JSONを吐かない」になりがちだ。つまり「検索への意欲」と「工具の正確さ」は、脱拒否を強めるほど両立しづらい。

だからヘッド用途には、最も激しいAggressiveではなく、Balanced系、あるいは元々ツール呼び出しに強いQwen系ベースを優先して試す必要がある。検証なしに「一番アンセンサードなやつ」を選ぶと、ループが回らないただの会話ボットになる。

検証プラン ── 3フェーズで未来に繋ぐ

Phase 0(今すぐ・手動) 候補モデルを一つずつOllamaへ入れ、Hermesヘッドとしてツールコール+リサーチループが回るか検証する。他プロセスを止めてリソースを確保。基準は「まともに使えるか」の二点のみ。

Phase 1(検証通過後・最小頻度) launchdで1日1回、深夜にリサーチ実行。記事化して下書きへ。常時ではなく定点観測。

Phase 2(M5 Pro到着後) 128GBでアンセンサードヘッドを常時稼働。Phase 0-1で作ったスクリプト・プロンプト・Modelfileをそのまま引越し、モデルだけスケールアップする。

壊れたパイプラインは廃止した

ついでに告白すると、同じマシンで以前「AIエージェントに稼いでもらおう」という連載パイプラインが毎時動いていた。これを今回、6重に壊れているのを発見して廃止した。noteセッション切れで公開が黙失敗、検索はDuckDuckGoのアンチボットで空っぽ、トピック抽出バグで全回同タイトル、記事は固定テンプレの使い回し、それでいて「✅完了」をAPI応答未確認で出力し続けていた。

教訓は共通している。自律稼働を信用せず、実応答を確認せよ。アンセンサード・ヘッドでも同じで、ループが回っているように見えても、実際に検索結果が入っているか、ツールが本当に呼ばれたかを検証しないと、また同じゴミを量産する。

シンギュラリティは地味に来る

派手なAGI発表の話ではない。地味な話だ。

「自分が何を知りたいかを自分で決め、止まらずに調べに行く頭脳」が、ローカルで、センサーなしで、動く。それをエージェントのヘッドに据える。たったこれだけで、集まる情報の質と量が桁違いになる。センサー付きLLMには原理上届かない領域だ。

その小さな裂け目を、1ヶ月後に届く128GBの機体で本格に開く。今は64GBで、小さく確実に、シミュレーションを始める。


本稿は、廃止した自律パイプラインの診療記録と、アンセンサード・ヘッド構想のシミュレーション設計を兼ねる。次号で実機検証結果を載せる予定。