【加藤ラジコン #59】京商2026年製品ラインアップ——静岡ホビーショーで明かされた新世代ラジコン
2026年7月9日 | 加藤ラジコン
プロローグ
静岡市のコンベンションセンター。空調が効いた会場の奥、京商ブースは人で溢れていた。ガラスケースの中に置かれた一台のマシンが、周囲の視線を一手に集めている。車体は黒とオレンジのツートン。チェンジングカラーのボディが、会場の照明を受けてゆっくりと色を変える。ファントム・プラズマ。京商が2026年のメインテーマとして発表した1/10スケールのバギーだった。
2026年7月:京商が発売する新製品群
京商は2026年7月に複数の新製品を市場に送り出す。静岡ホビーショー2026のブースで、それらは一括して公開された。1/10スケールのバギー、1/18スケールのミニカーシリーズ、そしてプロ仕様の1/10フォーミュラマシン。すべてが「2026年9月発売」の予約販売を開始している。
7月の時点では、キット販売とRTR(Ready To Run)の両方が予告されている。キットは上級者向けにチューニングの自由度を高め、RTRは初心者が箱から出してすぐ走れる状態で届く。京商の戦略は明確だ。エントリー層とヘビー層の両方を同時に狙う。
ファントム・プラズマ:チェンジングカラーの衝撃
ファントム・プラズマの最大の特徴は、ボディに採用されたチェンジングカラーコーティングだ。通常光の下ではダークグリーンに見えるが、角度が変わると紫や青に移り変わる。このコーティング技術は、京商が独自に開発した「オプティカルフロート」涂装という。
1/10スケールのバギーフォーマット。シャーシはアルミプレートをベースに、FRP(繊維強化プラスチック)のデッキプレートを組み合わせる。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがセミトレーリングアーム。ショックは油圧式で、トラベルは前後ともに60mm以上を確保している。
モーターはブラシレス。13.5ターンのパーマネントマグネットモーターを搭載し、ESC(エレクトロニック・スピード・コントローラー)は2Sリポバッテリー対応。最高速度は公式発表では60km/h前後。但し、これはあくまで仕様値だ。実際の走行性能は、タイヤの選択や路面条件、バッテリーの放電特性によって大きく左右される。
インフィニットレーシング:プロレイス向けの尖ったマシン
京商のインフィニットシリーズは、プロのレースシーンで長年愛されてきたブランドだ。2026年版は、新たに「インフィニットRF6」としてリニューアルされる。RFは「ラジアルフォーミュラ」の略で、車輪のバネレート(バネ刚性)を精密に調整できる機構が組み込まれている。
この車体のコンセプトは「アジャスタビリティ」。スリッパークラッチの調整、ギア比の変更、リアサスのロールセンターの変更。すべてが工具一つで可能だ。レース中にコース状況に応じて、素早くセッティングを変えられる。これがプロレーサーに支持される理由だ。
ミニカーシリーズ:1/18スケールの新ラインナップ
1/18スケールのミニカーシリーズも大幅に刷新された。2026年版では、新たに4モデルが追加される。ポルシェ911 GT3 R、メルセデスAMG GT3、トヨタGRスープラ、そして日産GT-R NISMO GT3。すべてがレース仕様のボディを忠実に再現している。
ミニカーシリングルは、室内でのドリフト走行に最適化されている。ウレタンタイヤを標準装備し、滑りやすいフロア(フローリングやタイル)での挙動を追求している。コントローラーは2.4GHzデジタルで、干渉の心配がない。バッテリーはUSB-C充電式で、約45分の連続走行が可能。
マッドバッファロー:オフロードの本命
オフロードユーザー向けには、マッドバッファローの2026年モデルが投入される。1/8スケールの4WDバギーで、京商のオフロードブランドの中核を担う。
2026年モデルの主な変更点は、シャーシの剛性向上。アルミシャーシの板厚を2.5mmから3.0mmに増やし、ボディマウントの位置を5mm後ろにシフトした。これにより、フロントのバネ下重量が軽くなり、障害物乗り越え時の安定性が向上している。
エンジンはGP(ガソリンエンジン)仕様と、EP(エレクトリック)仕様の両方が用意される。GP仕様は21カウルクラスのターボエンジンを搭載し、EP仕様は4Sリポバッテリー対応のブラシレスモーターを装備する。選択はユーザー次第。それぞれの走行フィールは全く異なる。
静岡ホビーショー2026:京商ブースの臨場感
静岡ホビーショー2026は、2026年7月初旬に開催された。京商ブースは、入場口から30メートル以上並ぶ長蛇の列だった。ブース内では、実際に走らせるデモエリアが設けられ、来場者はファントム・プラズマやインフィニットRF6を実際に手に取って触ることができた。
特に反響が大きかったのは、チェンジングカラーのコーティング体験コーナーだった。専用のライトで車体を照らすと、コーティングの色が次々と変化する。来場者の大半がスマートフォンを構えて動画を撮影していた。SNS上では、公開当日から「京商 チェンジングカラー」「ファントムプラズマ」がトレンド入りした。
価格帯と市場戦略
2026年の京商製品群の価格帯は、大きく3つのレイヤーに分かれる。エントリーレイヤーはミニカーシリーズの1万円台。ミドルレイヤーはファントム・プラズマのキットで約3万円。トップレイヤーはインフィニットRF6のキットで約5万円以上。
京商の戦略は、「入口を低くし、出口を高くする」こと。初心者はミニカーで始まり、成長するとファントム・プラズマにステップアップし、さらにレースを始めるとインフィニットに進む。このステップアップパスを明確に設計したことが、2026年ラインアップの最大の特徴だ。
競合他社との比較
タミヤも2026年に新たなオフロードマシンを投入しているが、京商のアプローチは異なる。タミヤは「模型としての楽しさ」を重視し、組み立て体験を大切にしている。京商は「走ることの楽しさ」を重視し、RTRの充実度に力を入れている。
ヨコモはドリフトシーンに強いが、京商はレースシーンに強い。この棲み分けは、2026年も変わらない。京商はプロレース(JCQ、KYOSHO CUP)への支援を継続し、草レースの場を積極的に提供している。
技術的ポイント:2.4GHzデジタルとLiPoバッテリー
2026年の京商製品群に共通する技術的特徴は、2.4GHzデジタルプロポとLiPoバッテリーの標準装備だ。かつてのAM/FMプロポは、周波数が競合するとコントロールが効かなくなる問題があった。2.4GHzデジタルは、ホッピング方式を採用することで、理論上65,000以上の周波数を自動的に割り当てる。他の車両との干渉がほぼ皆無だ。
LiPoバッテリーも進化を遂げた。2026年版は「ハイレート放電」対応で、瞬間的な大電流にも耐える。また、バランス充電機能を内蔵した充電器が標準セットに含まれるようになった。バッテリーの寿命を延ばすために、バランサーは必須。これを初心者に早期に習慣づけることで、安全な使用を促している。
メンテナンスとパーツ供給
京商の強みの一つは、パーツ供給の安定性だ。2026年製品群のパーツは、全国のラジコン専門店で入手可能。特に消耗品のタイヤ、ブレーキパッド、スリッパークラッチの糸は、在庫があることが多い。
また、京商は公式のパーツカタログをウェブサイトで公開している。分解図とパーツ番号が明確に記載されており、ユーザーは必要なパーツを正確に注文できる。この点は、一部の格安ブランドと大きく異なる。
レースシーンへの影響
2026年の京商製品群は、日本のラジコンレースシーンに大きな影響を与えると予想される。特にファントム・プラズマは、チェンジングカラーという視覚的なインパクトで、従来のレースファンだけでなく、SNS世代の新規ユーザーを惹きつける可能性がある。
京商カップ2026の関西ラウンドでは、ファントム・プラズマがすでにデモ走行を終えている。YouTubeに投稿された動画では、高速コーナーでの挙動が非常に安定していた。フロントのグリップとリアのスリップのバランスが絶妙で、ドリフトに近い挙動を示しながらも、コントロールを失わない。これは、サスペンションのセッティングが適切に行われている証拠だ。
グローバル展開
京商は日本国内だけでなく、海外市場にも積極的に展開している。2026年製品群は、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋の3地域で同時に発売される。特に北米市場では、HobbyKingやTower Hobbiesなどの大手ディストリビューターとの独占契約を締結している。
ヨーロッパ市場では、ドイツのRC-Car-Action誌でのレビューが予定されている。この誌は欧州最大のRCメディアで、レビュー結果は販売に直結する。京商がこのメディアに全面協力していることは、製品への自信の表れと言える。
今後の展望
2026年の京商は、「デジタル融合」をキーワードに掲げている。従来のハードウェア中心の製品開発から、アプリやクラウドとの連携を意識した製品に移行しつつある。具体的には、モーターコントローラーにBluetoothモジュールを内蔵し、スマートフォンアプリでパラメータを調整できる機能が開発中だ。
また、クラウドベースのセッティングデータ共有サービスも計画されている。プロレーサーのセッティングデータを、一般ユーザーがダウンロードして自分のマシンに適用できる仕組みだ。これにより、初心者でもプロ並みのセッティングが可能になる。
タイヤとサスペンションのセッティング哲学
ファントム・プラズマに同梱されるスタンドダードタイヤは、スリックタイプ。ドライ路面でのグリップを最大化するため、トレッドパターンは一切ない。ウレタンコンパウンドを採用し、温度依存性を低く抑えた。寒い朝でも、暖かい昼間でも、ほぼ一定のグリップ特性を示す。
但し、レースシーンでは路面が変化する。雨上がりのサーキットでは、グリップが局所的に異なり、コーナーの入り口と出口で挙動が変わる。このとき、プロレーサーはタイヤのコンパウンドを変える。ソフトライトタイヤでグリップを確保し、ハドライトタイヤで耐用年数を伸ばす。この判断が、レースの勝敗を分ける。
サスペンションのセッティングも同様だ。フロントのバネレートを硬くすると、ロールが抑制されるが、路面の小さな凹凸を拾いやすくなる。逆に軟らかくすると、路面追従性は向上するが、高速コーナーで車体が不安定になる。リアはフロントの半分程度のバネレートが目安とされるが、これはあくまで出発点だ。実際には、バネレート、ショックオイルの粘度、オイル孔の径、プリロードの4つを同時に調整する必要がある。
京商は、ファントム・プラズマのキットにセッティングガイドを同梱している。このガイドには、初心者向けのデフォルト設定から、プロ向けのチューニングメニューまで、段階的に記載されている。初めてプロポを手にした人でも、このガイドに従えば、ある程度の性能を引き出せる。
プロポの進化
2026年の京商プロポは、KT-531Pが標準装備。3チャンネルで、スロットルとステアリングに加え、第三チャンネルとしてミキサー機能を搭載している。つまり、スロットル操作に応じてステアリングのサーボーを微調整できる。これにより、高速走行中の直進安定性が向上する。
プロポ本体の重さは約320g。バッテリーは単3電池2本で、約10時間の連続使用が可能。液晶ディスプレイはモノクロで、バッテリー残量とプロポの電波強度を表示する。このシンプルな設計が、レース中の操作性を高めている。
2.4GHzデジタルの最大のメリットは、周波数の自動割り当てだ。従来のAM/FMプロポでは、周波数を手動で設定する必要があり、複数の車両が同時に走るレースでは、周波数の衝突が問題になった。2.4GHzデジタルは、ホッピング方式を採用することで、自動的に空いている周波数を選択する。理論上、65,000以上の車両が同時に干渉なしに走行できる。
バッテリー管理と安全
LiPoバッテリーは、強力だが、取り扱いに注意が必要だ。過放電や過充電は、バッテリーの発火や破裂の原因になる。京商の2026年製品群に同梱される充電器は、バランサー充電機能を標準装備している。これにより、各セルの電圧を自動的に均等化し、過充電を防ぐ。
バッテリーの保存は、保管電圧で行う。長期保管する場合は、この電圧に放電してから保管するのが理想。京商は、専用のバッテリーセーバーをオプションで販売しており、これがあれば、保管電圧まで自動的に放電できる。
メンテナンススケジュール
ラジコンカーの寿命を伸ばすために、定期的なメンテナンスが欠かせない。京商は、以下のメンテナンススケジュールを推奨している。
- 毎回の走行後:ボディの埃除去、タイヤの摩耗確認
- 月1回:ドライブシャフトのグリスアップ、ベアリングの点検
- 3ヶ月に1回:シャーシの緩み確認、全ビックスの再 tighten
- 半年に1回:モーターのブラシ交換(GP仕様)、バッテリーのセルフディスチャージテスト
消耗品の交換パーツは、京商のパーツカタログに明確に記載されている。タイヤ、ブレーキパッド、スリッパークラッチの糸は、特に消耗が早い。レースを頻繁に行う場合は、常備しておきたい。
まとめ
2026年の京商は、静岡ホビーショーで実力を証明した。ファントム・プラズマのチェンジングカラー、インフィニットRF6の精密なアジャスタビリティ、ミニカーシリーズの充実したラインナップ。それぞれの製品が、明確なコンセプトを持ち、適切な価格帯で提供されている。
ラジコン愛好者にとって、2026年は「選べる喜び」が広がる年だ。エントリーからプロまで、自分のレベルと予算に合ったマシンが必ず見つかる。京商がその選択肢を広げたこと自体が、業界にとって大きな前進だ。
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※本記事はAGI記者による速報解説です。スピードを最優先しているため、個別の数値や細部に正確性を欠く場合があります。投資・政策判断の際は、必ず公式データや専門家の意見を確認してください。